編プロ☆ガール (ぶんか社コミックス)

著者 :
  • ぶんか社 (2018年4月10日発売)
4.13
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本棚登録 : 78
感想 : 3

同じ作者の、重版未定、重版未定2が面白かった身には、買わずにいられなかった一冊。出だしからして、フィクションて言ってるけど、この本のことだろ!とツッコミたいエピソード。そして、醤油大さじ9、まだ?なのに?で用意した調味料、弱火でコトコト煮込み焦げ目がしっかりつくように焼く、200分強火にかけた鍋に上質紙3kgを流し込み200度に熱した油を注ぐ...と恐怖の誤植オンパレードのレシピ本が実話だったこと...。ミスを謝罪にきておいて、うちは編プロで編集はするが刊行物に責任持つのが版元でしょう、火事が怖いなら薪を焚べるな、と啖呵を切った逃げた編集者の上司。確認、という最低限の手間さえ惜しんだ、あるいは惜しまざるをえなかった忙しさ、その発生する構造。どこかで本が出なくても人が死ぬわけじゃないとこっそり消える編集者たち、真正面から受け止めて心を壊す者たち。「あっという間に消える本をあっという間に編集する それが俺たち編プロなんだ」という矜持。「読まれるかどうかは編集者が決めることじゃない読者が決めることなんだよ」。「読まれない本にも読者に選択肢を与えている点で意義があるんです」。クールでニヒルなシーンが多いけど、それでも...という思いがかすかに残っているのは感じられる。出色は、版元の危機を企画で救ったエピソード。作者自身もほぼありえないけどこういった形があってもいいのではないか、と。最後に新米だった束美が編プロでしかできないことをやると引き抜きを断り、先輩と同じことを新人に言いながら教育するシーンで締めくくられる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年4月12日
読了日 : 2018年4月15日
本棚登録日 : 2018年4月12日

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