パラリとめくってみて、アナーキーな感じに惹かれて購入。街を歩くだけで、路上を徒歩で踏み締めるだけで、その空間に何らかの楔を打ち込むような試み、思想に興味がひかれて。◆時間を気にせず路上空間を歩くこと、それが街を生きる根本的な要素のひとつなのではないかと思う(p.5)という宣言からはじまり。◆東京から愛知を二週間で歩いた記録。◆パプアニューギニアのポートモレスビー(警備会社業界が一番儲かってて、影響力があり、それゆえに治安が良いのは困るという、人々にとって暮らしにくい状況)、オーストラリアのキャサリン(アボリジナルの青年たちとの交流)、キルギスのビシュケク(「今のタリンにはこんな建物はもうないわ。だけどこの街は当時の建物ばかり。昔にタイムスリップしたような気持ちになって、少し変な感じがする。」)といった旅路で得られたことば。◆「人間存在とは大地である。歩き、感じ、考え、そして愛をいだく大地である。アタウワルパ・ユパンキ」p,19◆自らの身体を凹凸をともなった地面に見立てて、その上を歩き回るアリへの思い◆正しいとしてもそれはしょせん道徳的な正しさにすぎない。上から押し付けられる「正しさ」に抗い、世の趨勢に積極的に「迷惑」をかけることによって、私たちの歴史は動いてきた。p.63◆個人的な側面は強いけど、巻末近くの免許取得と韓国語学習を重ねるおもしろい論考。◆仲小路に作品の具材を配置して写真をとってまた去るアーティスト◆といったあたりが気になった。
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