現役医師である著者による、医療現場における様々な状況・葛藤・考察を忌憚なく述べた名著。
実際の医療現場で起こっている状況について、過去の科学的調査に基づく知見を説明しつつ、人間的な判断が迫られる医療現場の現実を描き出している。
第三部3章の「体はだれのものだろう?」は、自身の健康維持管理が求められる30代以上の人間には参考になる。
そして、圧巻は第三部3章の「赤い足の症例」。
人喰いバクテリアに侵された患者の治療に伴う、医者の直観と理論的判断の葛藤、確率的にはほぼありえない症状に見舞われた患者とその家族の困惑を迫力ある形で描き出している。そしてラストを飾る患者自身へのインタビューが美しい。
この作者のその後の著作を読みたいと思わせる名著。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2017年1月29日
- 読了日 : 2017年1月29日
- 本棚登録日 : 2017年1月29日
みんなの感想をみる