本書は2016年に相模原市で起きた殺傷事件を扱う。書き手は朝日新聞の記者ら。
被告を悪者にするだけなら、あるいは綺麗事だけ述べて現場が改善されないのなら、意味がないと思う。類似の事件の再発は防げない。
被告は「楽しそうな人生を送れば、事件は起こさなかった」と語った。
自分が障害者施設で働いたら、どのような想いを持つだろうか。被告と似通った思想が誘発されないとも断定できない。それが差別感情、優生思想の恐ろしいところだと思う。
本書の中で「被告が否定したのは人間の、頼り頼られて生きるという性質」という文章が登場する。これは社会学者である最首悟さんの言葉。
人間の、頼り頼られて生きるという性質
この言葉に出会えて良かったと思う。この1文に真理が凝集されている。この原則だけは、破ってはいけない。そのように自分の胸に刻みつけた。この言葉こそ、優生思想的な昨今の事件へのアンサーだと思う。
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- 感想投稿日 : 2020年8月27日
- 読了日 : 2020年8月27日
- 本棚登録日 : 2020年7月25日
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