「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部から成ります。前者2つは大学生である「私」の視点から「先生」と「両親」について描かれ、「先生と遺書」では先生の言葉で、先生自身の過去が語られます。
「私」と「先生」では、一人称の雰囲気が変わります。違う人物なのだから当たり前だと言われればそれまでですが、言葉選びや、その言葉の運び方から、その人物の人間性が見えてきました。語尾などの口調によって人物の特徴を変えることは容易ですが、それだけではない、文章の雰囲気で人物が伝わってくるのです。これを一人の人物が書いているのだから、改めて夏目漱石という人の才能を感ぜずにはいられません。
「先生と遺書」は、言葉をあまり選んでいないところが良いと思いました。「先生」の感情が濾過されることなく垂れ流されていて、描写があまりにもリアルです。ただ、それが故に情報量が多く、一度読んだだけでは咀嚼し切れませんでした。私のキャパが小さいだけなのですが・・・。
いずれまた読み直したいと思います。「先生」の遺書を読んだ後で改めて「私」とのやり取りを見ることで、また新たな発見が出来るように思うのであります。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2011年4月25日
- 読了日 : 2011年4月24日
- 本棚登録日 : 2011年4月25日
みんなの感想をみる