こころ (講談社文庫 な 1-1)

  • 講談社 (1971年7月1日発売)
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感想 : 6
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 「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部から成ります。前者2つは大学生である「私」の視点から「先生」と「両親」について描かれ、「先生と遺書」では先生の言葉で、先生自身の過去が語られます。
 「私」と「先生」では、一人称の雰囲気が変わります。違う人物なのだから当たり前だと言われればそれまでですが、言葉選びや、その言葉の運び方から、その人物の人間性が見えてきました。語尾などの口調によって人物の特徴を変えることは容易ですが、それだけではない、文章の雰囲気で人物が伝わってくるのです。これを一人の人物が書いているのだから、改めて夏目漱石という人の才能を感ぜずにはいられません。
 「先生と遺書」は、言葉をあまり選んでいないところが良いと思いました。「先生」の感情が濾過されることなく垂れ流されていて、描写があまりにもリアルです。ただ、それが故に情報量が多く、一度読んだだけでは咀嚼し切れませんでした。私のキャパが小さいだけなのですが・・・。
 いずれまた読み直したいと思います。「先生」の遺書を読んだ後で改めて「私」とのやり取りを見ることで、また新たな発見が出来るように思うのであります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年4月25日
読了日 : 2011年4月24日
本棚登録日 : 2011年4月25日

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