現在の泣ける映画・小説ブームの先駆けは浅田次郎の「鉄道員」じゃないかと思っている。
私はそういう一連の「泣ける」モノにあまり興味がなく、どちらかと言えば冷ややかな目で見ている。この本を買ったのは妻だ。私ではない。でも、話題となってる以上読んでしまう自分が悲しい。
途中まで読んでいてこのストーリー展開は星新一だなと思った。拝んではいけない祠を拝み、貧乏神・疫病神・死神に次々憑かれる不幸な男。
しかし、星新一ならその不幸を幸運に変えていくスノッブな展開で終わるだろうが、浅田次郎は違った。幕末を舞台に武士道を軸として泣ける話に仕上げている。
ただし、この展開で泣くには主人公の考える武士道の何たるかを理解せねばならない。その部分が説明的で泣くためにはその部分をしっかり読まねばならぬ。泣くことに興味がない私には苦痛だった。
貧乏神・疫病神・死神に次々憑かれる不幸な男の話を筒井康隆で読んでみたい。そう思った。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2010年10月8日
- 読了日 : 2007年7月2日
- 本棚登録日 : 2010年10月7日
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