アメリカ経済 成長の終焉 下

  • 日経BP (2018年7月21日発売)
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【アメリカ経済 成長の終焉】
まず最初に、めちゃくちゃ面白かった。150年の経済を俯瞰すると見えてくる物語。以下、ただのまとめになっちゃったけど、そのコンセプトが一番面白い。

生活水準を測る上で取り込みやすい一人あたり実質GDPは、イノベーションとそれに続く改善の影響を捉えられていない。なざなら、それは市場で取引される財産だから。生活の質の向上、例えば白熱電球が灯ること、内燃機関で移動が可能になることの変化は、実質GDPでは説明できない。
一方で、経済史を俯瞰する上で、同じレベルで示せる指標はない。そこで、イノベーションの影響を生産性の上昇も含めて考慮した成長は、どのような結果になるのか。

エジソンの白熱電球とベンツの内燃機関に代表される第二次産業革命とそれに続く改善が第一次(蒸気)、第三次(ICT)と比較して特異なのは、その影響先が人間の衣食住あらゆるものに波及したこと。電気を扱えるようになり、移動によりネットワークが形成されたことで、生活水準が大きく向上した。
この観点からすると、第三次産業革命の波及範囲は通信・娯楽分野に集中しているため、生活水準向上への影響は相対的に小さくなる。今後も生活水準を今以上に向上させるイノベーションは見込めないことから、過去のような高い成長は見込めないため「Fall of growth」となる。

これからの先端技術では革命的に生活水準が向上することは起こんないんだなと、冷静に見る事ができるようになったように思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済学
感想投稿日 : 2019年3月6日
読了日 : 2019年3月6日
本棚登録日 : 2019年3月6日

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