終わる世界のアルバム (メディアワークス文庫 す 1-2)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス (2012年10月25日発売)
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本棚登録 : 404
感想 : 31
1

情景描写はいいが、物語のボリュームに対して描写が厚すぎる。
ちょっと目に入ったものとか、場面転換ごとにいちいち触れられていたら飽きてくる。
世界観自体が陰鬱だから描写も暗くて、美しいなんて感じることもない。
ずっとストレスフル。

登場人物たちは全然会話を交わさなくて、というかコミュニケーションしていない。
思っていたことをいいかけてやっぱりやめる→相手が怒るみたいなことをずっと繰り返していて、ああもうストレス。
こんな状態でどうやって感情移入すればいいのか。

序盤から登場する莉子だけはそこそこキャラが立っていて、この子との物語なのかと思ったら、なんとメインヒロインじゃなかった。

途中出場の奈月が主人公にとって重要な位置を占めているみたいだが、会話もない、主人公とのこれまでの関係性も描かれない。
親の死もあっさり受け入れた様子の主人公が、どうして奈月だけは忘れたくないのかがわからない。

話しかけたら怒る、なのにくっついてくる女。
その理由も明らかにされない。
もうわけがわからない。

正体不明のヒロインに共感できるはずがない。
というか大嫌いだ。
莉子の方がよほど主人公と結びついてないか?
二人を一人の人物として書き直せばましになるかもしれない。

実在する古い音楽をひたすら挙げるのは勘弁してほしい。
数曲程度ならいいが、ことあるごとに何曲も引っ張り出してくるのは反則だ。
物語ではなくて、その音楽の雰囲気で読者を取り込もうとしてるだろ。
解説もなしに知らない話を延々されると飽き飽きする。
こういうやり方をする小説を好きになれたことがない。

物語は終始たった一つの謎を引っ張っていて、なにも明かされないまま終わる。
どうして人が消えるのか?
奈月だけ覚えていられたわけは?
主人公が人の死を悲しまないように制御するきっかけとなった出来事は?
謎のまま終わるのもありだと思うが、それが多すぎると目につく。

致命的なのは、感動を狙っていると思われるのに、盛り上げ方が下手すぎること。
地の文は暗くて淡々としていて、印象的なシーンはないし、主人公の目を通して世界を見るのが嫌になってくる。
一人称小説なのに。

ラストももっとやり方あるはずだ。
最後にDJが奈月との思い出の曲を流すとかそういうベタなのでもいいのに。

起承転結なんてものはない。
起・結これだけ。

最後に根本的な事。
皆で写真持ち合えば誰も消えないんじゃないか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月7日
読了日 : 2017年5月2日
本棚登録日 : 2020年10月7日

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