「物理学喫茶室」マスターの本棚

アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論の原論文が収録されている一冊。(原論文以外に訳者による解説も載っています)
アインシュタインの論文のタイトルは、「運動している物体の電気力学」といいます。
正直言って、一般の方が読んで面白いものではありません。なにしろ『論文』ですから。
しかしながら、アインシュタインの自著ですから、感慨深いですよ。アインシュタイン、26歳の時の著作です。それを思えば、凄いの一言。

2019年1月12日

読書状況 読み終わった
カテゴリ 物理

今の自分にとっては正に旬なテーマですね。
ただ、「50歳からの生き方、終わり方」というサブタイトルに、「遅かったか!」という危惧を感じてしまいます。
安心して下さい。60歳からでも65歳からでも大丈夫です。
二つ考えさせられたことがあります。
ひとつは、『日本人男性は世界一孤独』。仕事以外の日常生活で、他者となんらかの活動に参加した経験者が、先進21ヶ国中ダントツで日本が少ないこと。
もう一つは、自分がこれから何をしたいかわからない人は、子供の頃の夢をもう一度振り返って見ることがいい、ということ。
なかなか身につまされる内容である。前向きに捉えたい。

2019年1月11日

読書状況 読み終わった
カテゴリ 人生

これは、ミステリーではなく、SFだなぁ。
タイトルの「ラプラスの魔女」とは、明らかに物理の世界でよく知られた『ラプラスの悪魔』から取った命名であります。18世紀の物理学者、ピエール・シモン・ド・ラプラスが考え出した超人が『ラプラスの悪魔』。この宇宙に存在する全ての原子の現在位置と速度を把握していれば、この宇宙で起こるであろう全ての現象を予測できる超人を仮定した。
東野圭吾氏の新境地である。少々荒技ではあるが、荒唐無稽にならない程度によくできたストーリーを構築した。
ただ、氏は工学系出身なので、どうしても内容が物理ではなく応用物理か理工学系になってしまうのが少し残念。

2019年1月10日

読書状況 読み終わった
カテゴリ SF

パワハラ、セクハラ、モラハラという行為が取り沙汰されて久しい。社会現象にもなった。
その中にあってこの「クラッシャー上司」というのはインパクトが大きい。
クラッシャー上司というのは、組織において仕事ができる人である。そして自らの成功体験を背景に、自分のようにできない部下を「善意で」叱咤激励する。他者に対する共感力が全くないので、部下がそれをどう感じるかに全く無頓着である。
「私は部下を三人潰して、役員になったんだ」ということを平気で公言する。
仕事面では、へたに有能なので、組織としても、このクラッシャー上司を簡単に切れないという事情もあり、部下に救いがない。
組織において重要なことは目先の業績をクリアすることではない。人材を育て、十年、二十年先の組織を見据えることだ。だからクラッシャー上司には、意識変革していただくより他に路はない。そうでなければ排除されるべき存在である。
クラッシャー上司の酷さを知って溜飲を下げるより、そもそも自分がクラッシャー上司ではないのか、と自らを振り返ることが必要であることを反省すべきだだなぁ、と思ってしまった。

2019年1月9日

ああ、これは湊かなえさんの小説だなぁ、と納得して読み進めることができます。
しかし、読み終わって、驚天動地を正に実感。
これは、クリスティの「アクロイド殺し」を凌ぐのではないか!
ネタバレはここまでにしておきましょう。読んでみてください。

2019年1月7日

ネタバレ
読書状況 読み終わった
カテゴリ ミステリー

特殊相対性理論の理解を進めたい方にお勧め、というより特殊相対論を腑に落ちる形で理解したい人は是非読んでみるべきだ。ミンコフスキー時空がもたらす恩恵、時空間距離の意味、質量とはエネルギーであることがなぜわかるのか、などなどわかったつもりで実は何もしらなかった自分の生兵法に赤面させられること請け合い。
訳本ではあるが、訳者の柴田裕之氏が、単に翻訳作業に従事するのみならず、原著を理解してやろうという意気込み充分で取り組んでおられるので読み易い。

2019年1月6日

随分と長い連載だ。1986年以来と言うから、もう20年以上連載が続いている。
メガネさんと松っちゃんが常連さんで、滅法酒の知識を持ち、その蘊蓄好きなマスターが主人公。
サブキャラで色々な人が登場するが、ちゃんとしたドラマになっていて、しかも酒にまつわる蘊蓄も必ず入っているという、実はとんでもなく優れものの一品だ。
単行本も既に30巻を数える。
こいつはお勧め。
最近はBSフジで、実写化されているようだ。

2016年5月4日

知らない人の方が多いだろう。
テレンス・ヤングが監督した西部劇である。

チャールズ・ブロンソン
アラン・ドロン
三船敏郎

そろい踏みである。
それぞれ、アメリカ人、フランス人、日本人が主演したが
フランス・イタリア・スペイン合作。残念ながら原作はなし。

これ、私、リアルタイムに劇場で観ましたよ。
1971年公開だそうで、えっ、45年前。
計算間違ったかと思った。
私も歳とるわけだぁ。。。

2016年3月3日

古谷 三敏氏による落語を題材にした漫画。
これが、なかなかいいんだなぁ。
一話完結で、様々な寄席芸人を取り上げた人間ドラマ。
漫画だとバカにはできない。
人生の機微をじっくり味わうには最高の全集です。

読んでない方、お勧めですぞ!

2015年11月26日

読書状況 読み終わった
カテゴリ 人生

実は、この「長い長い殺人」は、私が読んだ宮部みゆき氏の初めての本です。前々から読みたいとは思っていたのですが、なんとなく敬遠していました。
で、この本を読んで考えを変えることにします。もう少し読んでみようかなぁと。
但し、この一冊を読んだ限りでは、宮部氏のミステリーは心理描写を専らとする分野と思えてしまいました。
若干、私の好みとは異なります。
最終的感想は、もう少し読んでから考えることしておきますが。

2015年10月28日

童門冬二氏の作品は、何というか面白みが少ないので、あまり読まないのだが。この「上杉鷹山」はいい。
灰の国「米沢」を自らが率先して働くことにより、熾火から燃える国へと変えて行く。武士のプライドが鷹山の仕事の邪魔をする。現在でもよくある話だ。
米沢の国境、野菜が道端で売られている。それを持って行く者は、棒杭にぶら下げられた籠にお金を入れて行く。
そんな国を作り上げた鷹山。
J.F.ケネディが日本で最も尊敬する人物と言った。
日本人の素晴らしさの始祖とも言えるのではないだろうか。

2015年9月23日

読書状況 読み終わった
カテゴリ 歴史

名前だけは皆さんお馴染みの「超ひも理論」についての一冊。書いた方は川合光氏。現在は京都大学教授だそうです。高橋繁行氏による図解がわかりやすく、一気に読めてしまう本です。
物質の根源である素粒子とは、点でなくひもだった、という話に始まり、それが最後には、我々が今生きているこの宇宙が50回目の宇宙であるという結論を導く。驚きますよ。数式は全く出てこないので数学アレルギーの方も安心して読めます。
自分は最新の物理について、何を知っていて、何を知らないのかを確認してみるよい機会となる一冊です。

2015年8月18日

玄侑宗久氏のエッセイ集。禅僧であり、作家でもある氏が「禅」の立ち位置を明確に打ち出しながら日常を語る。一休禅師がでてきたり、僧侶が長生きするワケを考察してみたり。
気楽に「禅」に振れるにはなかなか面白い本です。

2015年8月17日

小学校4年のときだったか、学校の図書室で見つけた本。この出逢いは大きかった。シャーロック・ホームズそしてDr.ワトスンとの出逢いだった。
ロンドンが舞台でなく、ノーフォークの荒野である。未だ観ぬ(今も観ていないが)英国の風景に思いを馳せた。ワトスンの活躍と。それを見守るホームズの心遣い。そして真犯人の異常さ。この本に最初に出逢えたことはシャーロッッキアンとして幸運に思う。

2015年8月16日

世界初めてのミステリーと言われています。謎の殺人事件。密室犯罪、意外な犯人、名探偵。ミステリーの要素は満たしています。エドガー・アラン・ポーが書きました。日本の江戸川乱歩は、ここから名前を借りたんですね。シャーロック・ホームズの原点。
ミステリー好きを標榜するなら必ず読むべき作品。
「モルグ街の殺人事件」と訳している本も多いですが。私にとっては、やはり「モルグ街の殺人」がいいなぁ。

2015年8月16日

ミステリーとしては二流である。だってジャービスがあしながおじさんだと小学生でもすぐ分かったもの。
自分を助けてくれた人に対する恋心。うーむ、アメリカ的な話だなぁ。感動と言うより懐かしさを感じる作品だなぁ。

2015年7月15日

読書状況 読み終わった [2015年7月15日]
カテゴリ ヒューマン

「小公子」や「小公女」より。この本が好きだった。閉ざされた世界に生きる子供を、自然という美しい舞台に引っ張り出す周りみんなの力が好きだった、
人と自然が溶け合ったこの世界は、なかなか描き出せない憧れの世界だ。

2015年7月13日

もう荒唐無稽ではこれ以上ない、と思われるのに、不思議なリアリティーを持った奇妙な作品。テーマはともかくとしてこれはある種の理想を求めた作品なんだろうと思う。
米国大統領ベネットが物語の進行と共に大きく変貌して行く様が興味深い(ただし、ここにリアリティーはない)。
海江田も魅力的と言うよりは、怪人二十面相的な存在感を持っている。
面白いが、やはり妙な作品であると言わざるを得ない。

2015年6月17日

実を言うと先に映画をDVDで観た。正直に告白するが久しぶりに泣いた。本物の日本人の感性を感じてしまったから。人は自分自身の為だけに生きるのではない、愛する者がいて、その人のために生きるのだと。第二次大戦下のあの大衆が愛国心という形のない「もの」の溺れていた時代、「本当に守るべき者」のために、生き、死に行く者を描ききったこの作品には頭が下がる。
しかし主人公はなぜ最後に己が助かる道を捨てたのか。
理解出来る者は日本人しかおるまい。

2015年6月14日

読書状況 読み終わった [2015年6月14日]
カテゴリ 人生

ミステリー、SF、伝奇と言った分野が多い高橋克彦氏であるが、正統的歴史物語である。と言うのもNHKの大河ドラマの原作として書かれているからだ。陸奥の藤原三代は歴史的にも有名だが、この物語はその一代前、当時蝦夷と呼ばれた安倍貞任に共鳴した藤原経清から始まる。大和朝廷にとって陸奥とは何だったのか、源氏と陸奥の関わりを明快に示してくれている。
八幡太郎義家が義経に、経清が泰衡に転生するという筋書きには頷ける所がある。
惜しむらくは、高橋氏の執筆が放送に追いつかなくなって、大河ドラマが途中から原作を無視したことである。高橋氏自身が途中からドラマを見たくなくなったそうである。

2015年5月25日

読書状況 読み終わった
カテゴリ 歴史

養老さんの本は頷ける点が非常に多く、共感も大きいため、自分は養老さんに似た人間なのかなぁと思っていた。しかしこの本を読んでそれが全く違っていたことに気がついた。養老氏は「奇人」という言葉を使う。うまく社会のルールになじめない人、それが「奇人」。そういう人は生きづらい事にはまっちゃうわけだ。従って一般の人は、「楽」をするには世間に合わせることをする。しかし、養老氏はその「楽」を嫌う。「楽」でない道を選ぶことで、そこに「自分」が現れる。「自分」を探す必要はない。いわゆる世間とのずれが自分なのだと。うーむ、眼から鱗。

2015年5月24日

ダン・ブラウンのラングドン教授シリーズの第一作(ダ・ヴィンチ・コードは、映画化は逆になったが後に書かれている)。この物語にはCERN(欧州原子核研究機構)が登場する。ここで創られた反物質(普通の物質と出会うと爆発的エネルギーになる)が盗み出され、ヴァチカンのサン・ピエトロ寺院のどこかに隠される。4分の1グラムの反物質。通常物質と反応すると2分の1グラムの質量がエネルギーに変わる。広島の原爆の半分である。紆余曲折のあとヘリコプターで運ばれた反物質がサン・ピエトロ寺院の上空で爆発。地上に影響はなく、めでたしとなるわけだが、ヘリコプター高度で、広島原爆の半分のエネルギーが放出されて地上が無事であるか否かは疑問である。
ミスれリーであるから犯人がいるわけだが、ちょうどバチカンの新法王決定のコンクラーヴェと重なっているという設定。物語としては面白いが、物理学的には疑問多し。(野暮は承知)

2015年5月17日

ネタバレ
読書状況 読み終わった
カテゴリ ミステリー

柳田国男の「遠野物語」を下敷きにして井上ひさし版の民話を9話収録している。作者自身であろうと思われる、大学休学中の「ぼく」が、遠野と釜石の間にある療養所で働く内に山にすむ犬伏老人と出会い、民話を聞くという筋立てだ。柳田版に比べれば格段に読み易いが、なにかやはりおどろおどろしい雰囲気は否めない。井上ひさしの文章だから読めるという感じで、他の人ならかなり怖い話である。

2015年5月16日

読書状況 読み終わった
カテゴリ 伝奇

医療が主題のヒューマンドラマ。TVドラマが著名になりすぎたので、八犬伝のような人材の集結ドラマのイメージが強いが、それは違う。日本の医療の間違った面をどう描くかに専念した物語なのだが、誤解されている。
天才的技術を持った外科医が、組織という圧力の中で何ができるか。どのような人間がそういう中で成長して行くか、考えさせられるストーリーである。決してスーパーマンのドラマではない。

2015年5月15日

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