誕生日だけがうるうの少年と、肉体的にもうるうの彼。違う時間軸を生きているようなふしぎなふたりの交流に感動した。物語の最後に同い年になっているはず、そして少年が約束を守るのも、素敵。こういう友情があるってうるうが気づいたならいいな。
2016年6月16日
- ゴールデンボーイ 恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)
- スティーヴン・キング
- 新潮社 / 1988年3月30日発売
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「ショーシャンクの空に」原作が収録されてる。映画と同じ解放感と幸福感に心が覆われた!スクリーンで見られたことが嬉しい作品。
2015年12月15日
ラジオドラマの原作第1巻を数時間のうちに読了。世を渡りながら学び成長してゆくまっすぐな白狐魔丸が羨ましいくらい。子供が物事を吸収してゆくのってこんな感じなのかな。仙人さまとのやりとりは、いちばん最近のラジオドラマと比べてやはり幼さを残す感じがした。
2015年9月11日
- ムギと王さま 本の小べや 1 (岩波少年文庫 082)
- エリナー・ファージョン
- 岩波書店 / 2001年5月18日発売
- 本 / 本
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散歩の途中に蹴った石ころになぜだか心惹かれてずっと持ち歩いてしまうような、一見宝石ではないけれどとても尊いものに思われる、優しいお話でした。最近こういう短編集が好きだな。いろんな景色を見られて楽しい。
2015年9月9日
- ぼくのともだち (白水Uブックス 184)
- エマニュエルボーヴ
- 白水社 / 2013年7月4日発売
- 本 / 本
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自分の見えて感じている世界だけ。その尺度で「そうに違いない」「なぜそうでないか理解できない」と測るのは…彼を一歩も進めてくれないはず。朝起きて、時間に追われることもなく、気の向くままに目に映るあれこれに感じながら歩き回るのには、ちょっと憧れるけれど。
2015年8月29日
希望って支えだよね。どんな形であっても、必要なのは、立っていられるための。
2015年4月16日
- わがままちえちゃん (ビームC)
- 志村貴子
- KADOKAWA / 2015年3月25日発売
- 本 / マンガ
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同姓のきょうだいってやはり特別なのかな。好きと嫌いが抱き合ったり嫉妬しあったりしながら、ずっと一緒にいるの。よく物語を書いていた頃、心の中に溜まってこじれたものを表したくて、ぐるぐると頭の中で屁理屈をこねていたことを思い出すような筆致でした。
2015年3月27日
引き込まれて、憑かれたように読み耽った。不思議な昔話のようだけど、何だかとても時事的にも思われて。やっぱりひとは自分たちの業に飲み込まれてしまうのかなぁ…
2015年3月21日
- ズボン船長さんの話 (福音館文庫 物語 S-12)
- 角野栄子
- 福音館書店 / 2003年1月8日発売
- 本 / 本
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冒険譚を聞きながら、自分もそれを目撃した気分になり、子供の頃の昂ぶる好奇心を思い出してはワクワクする。「世の中には卵を飲み込むように丸ごと信じた方がいいこともある」という魔術師の言葉が好き。ミュージカルで登場していた「不思議は不思議のままでいい」が見当たらず。このミュージカルに関しては、年明けの新国立劇場にご注目あれ。
2014年8月18日
- トド彼 (1) (ビッグC)
- 高嶋あがさ
- 小学館 / 2013年9月30日発売
- 本 / マンガ
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久しぶりに読みたくて買った漫画。当たりだった。「エリザベスタウン」とか「リトル・ミス・サンシャイン」とかのロードムービーを思い出させるような、日常の静かで平穏で愛おしい空気感がいい。早く2巻が出ないかと首をたぷたぷにして待っているところ。トドだけに。
2013年10月15日
- 歴史街道 2013年 11月号 [雑誌]
- PHP研究所 / 2013年10月4日発売
- 本 / 雑誌
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9月の舞台「SEMPO」の主役、千畝さん大特集号。センポについてのみならず、カウナスでのビザ発給の後日譚と、そこに大きく関わり杉原ビザのバトンを繋いだふたりの日本人に光を当てている。敦賀の人々の親切なもてなしにも触れている。人としての心のこもった行ないを知ることができ、舞台の感動が蘇った。舞台でルネが説明していた辺り(M2)や、ユダヤの民が迫害を受けるに至った理由もわかりやすく書かれている。たいへん読み応えがある。これ読んでからもう一度観劇したかった!2013年公演の舞台写真も少しあり。
2013年10月14日
- 杉原千畝物語 命のビザをありがとう
- 杉原幸子
- 金の星社 / 1995年1月1日発売
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9月開幕の舞台「SEMPO」の予習として読了。人を人として思うことがかつてないほど温かく感じられ、ビザの発行、帰国途上で知り合った奥さんが子供たちのことを案じてくれたその気持ち、ニシュリさんとの再会…等々で胸がいっぱいになった。当たり前のことをなかなか当たり前にできないことが多い中、千畝さんの起こした当たり前の行動は、人間性とか徳とかの真髄であり、とても根源的なことなのだ。仮に似たようなことが自分にふりかかったとしても、彼のような優しい思いやりを持った、相手のことをいちばんに考えた選択ができる自信ははっきり言ってない。ちっぽけな私からしたら、人としてのあるべき姿がこれほど誠実に謙虚に、あの厳しかったであろうご時世に存在していたことが嬉しい。うまく言えないけれど、本能の極めて近くに触られて、いま涙で前が見えなくなっている。これ汗ではないはず。舞台への期待が俄然高まる。
2013年9月1日
- 日の名残り (ハヤカワepi文庫 3)
- カズオ・イシグロ
- 早川書房 / 2001年5月23日発売
- 本 / 本
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映画を見てから読んだ。ミス・ケントンに会いにゆく過程で描かれる村人との交流が細かく見られるのがいい。スティーブンスさんはもしリタイアしたら、街の暮らしに溶け込めるのだろうか。彼の意固地なまでの誇り高さと言うか、品格というか、そういう線引きや身のわきまえ方が、読む方がしつこくて(笑)もっと楽に一呼吸おいたらいいのにと思ってしまった。映画の方が叙情的でうっとりと浸りやすかった印象。本の内容を知りたがるくだりも、本ではスティーブンスさんの視点であるためか、映像の方が遥かにセクシーな大人の雰囲気でドキドキする。
2013年10月10日
途中までは、不思議な優しいお話。最後は、少し背筋に寒いものが走る。あの赤い蝋燭を買って行ったのはきっとお母さんなのだ。思いは何かを動かす。こんな言い伝えが、物語でなく実際に残っていたら…素敵だ。
2013年6月19日
- ヴィクトリアン・サーヴァント 階下の世界
- パメラ・ホーン
- 英宝社 / 2005年5月25日発売
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召使い本の大家?使用人の世界の栄枯盛衰を、年代別に具体的に解説している。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」に登場したサーヴァンツがなぜその職に就いたのか、パーラーメイド、フットマンなどなどどのような種類の使用人に当たるのか、が気になって読み始めたが、思いのほかのめりこんでしまった。ヒギンズ邸の召使いには、本書で解説されるほどの厳しい階級や戒律はなさそう。やはり面白いのは、仕事内容の章。彼らもこんな風に過ごしていたのかと思うと、うきうきする。
2013年7月27日
- 春琴抄 (新潮文庫)
- 谷崎潤一郎
- 新潮社 / 1987年1月1日発売
- 本 / 本
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感覚の集中して織り成されるものは、音曲にしろ慕う気持ちにしろ、珠玉なのかも。さらりとしたようで深い信頼、師弟に通い合うものがいじらしくて、描写が流麗で、句読点のなさに躓きながらも引き込まれてしまった。
2013年5月31日
- 不思議の国のアリス (とびだししかけえほん)
- ルイス・キャロル
- 大日本絵画 / 2004年11月15日発売
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仕掛け絵本。裏にも絵が描かれ、ただ見開きに立ち上がる立体を楽しむだけではない仕掛けも。壊さぬようにそっとページをめくるときの、次に現れるのは何かという冒険的な高揚感が懐かしい。
2013年3月24日
- 髑髏城の七人 (講談社文庫)
- 中島かずき
- 講談社 / 2008年5月1日発売
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舞台では描かれなかった“隙間”、例えば本能寺で殿が蘭丸を生かしたわけとか、蘭丸が蘭兵衛になる辺りとかが程よく埋まる感じ。天蘭捨三人の因縁だけで言えば、歴史的背景にも触れつつ舞台よりも細かく描かれている。天の両脇に控える双子に蘭(植物)の名が与えられているが、彼らに関する天の言葉にしても、やはり蘭をこそ天は求めたのだろう。天蘭が組みして動くのは、絶筆となった夢を再び描くような感じではなく、遺作に勝手に手を入れて我がものとしようとしている輩への天誅という感じ。物理的にでかい兵庫と、考え込む性質の三五(渡京)と言うのが新鮮。
2013年2月27日
- 髑髏城の七人 Ver.2011 (K.Nakashima Selection Vol.17)
- 中島かずき
- 論創社 / 2011年8月8日発売
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捨はたぶんいつでも殿のもとを離れることができたのではないだろうか。外気に触れていただけあり、最も“あの頃”へのしがらみが希薄に思われる。蘭は捨に言われるように自らあの道を選んだに違いない。俺は正気だとの言葉以上に、縁切笛や夢見酒のくだりにその本意を見る。蘭兵衛の迷いが消えたとすれば、それは捨に無界屋を褒められた時。蘭丸の道が定まったとすれば、それは天(の殿様)が彼を欲しがった時。天は随所で自らの弱点を吐露しているが、当人がそれに気づいているかは不明。何となくリチャード三世の無邪気な残虐性と似通って見える。
2013年2月8日
肌の温度を感じること、鼓動を聞くこと、愛を抱くこと、すごくシンプルなことが 、実はいちばん伝わるのだなと。滑らかな線と色がとても好き。
2013年1月26日
- 月と六ペンス(新訳) (岩波文庫 赤254-2)
- W・サマセット・モーム
- 岩波書店 / 2005年7月15日発売
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感性とか美とか、そういうものへのアプローチが面白い。理屈っぽいのにくどさがなく、あっさりとした印象で、ストンと納得してしまう。これは恋とは違ったこういうことに由来する感情だとか、冷徹なまでの分析力がすごい。感覚が近いのか、ぐいぐいと引き込まれた。気に入った箇所が幾つもあったので、今度は付箋をつけながら読み返したい。
2012年11月16日
こういうものはないと思うけれど、幼少期に形成されたものが内に潜む衝動を爆発させる瞬間があるのだろうか。誰しも。
2013年1月13日