群像劇型王道恋愛少女漫画シリーズ9巻は、小ぶりなエピソードをつみ重ねた感のある一巻となっている。
二年進級から始まった物語は、上野くんの後輩・入谷開とのいざこざをテーマにした球技大会にページを割きつつ、クラスが分かれてしまった鶯谷&五反田の関係に焦点を当てたり、自己紹介でトム君が滑ったりしている。
後半ではいまだにうだうだやってる赤羽君に焦点が当たって、物語は修学旅行先の京都で主人公と彼がばったり再開するところでクローズしている感じである。
青春群像劇として丁寧に描かれていて、相変わらず花ちゃんは可愛いし、文句なしに楽しい一巻だった。
修学旅行先でヒロイン勢3人でポツポツと語る女子の心情もまた味わい深かった。
細々と嫉妬するみっともなさを自覚して、やりたくないなあと思いつつ、でもやっぱりやってしまう。
そうした心理を赤裸々に語ってしまって、それになんとなく恥ずかしくなってしまう風景は、臭みを上手く抜いたこの作品らしい描写だったと思う。
学園物ゆえに派手な展開はない。ただ、丁寧に描かれた物語は素晴らしく王道である。
今回も楽しませていただいた。星五つで評価したい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ドナドナ
- 感想投稿日 : 2021年7月23日
- 読了日 : 2020年12月30日
- 本棚登録日 : 2021年7月23日
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