「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論

  • 東邦出版 (2016年2月1日発売)
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感想 : 2
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 類を見ない独特のサッカー解釈を行うヘスス・スアレス氏と、その氏の評論を巧みな日本語で翻訳してくれる小宮良之氏の共作によるサッカー評論シリーズ五作目である。今回は戦術を軸に、現代のサッカーを読み解いている。
 彼の評論については異論反論の余地は大いにあり、忌み嫌う人も少なくないだろう。だが、一本筋の通った論理には、やはり読み応えがあるのも確かなところだ。
 私自身が彼の評論を肯ずる立場であるということもあるだろうが、本来は贔屓にするはずのバルサに対してもきちんと物申す立場を取れるところなどは、彼らしいところだ。
 また、これは改めて指摘するようなことでもないかもしれないが、やはり小宮氏の翻訳の質の高さも評価すべきところだ。これほど日本語表現に即した訳本といのは類を見ない。
 いま現在の(つまりは15-16シーズンを含めた)評論であるという現代性もまた貴重である。

 賛否両論はあるだろう。それにしても、どちらの立場にあってもこの本が高く評価されるだろうことは違いない。
 星五つで評価している。できればこれからもこのタッグのサッカー評を読んでいきたいところだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドナドナ
感想投稿日 : 2016年2月15日
読了日 : 2016年2月12日
本棚登録日 : 2016年2月15日

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