斉藤幸平「人新世の資本論」を読んだ流れで、この本を読んだことを思い出す。当時とにかく就職をする前で、関東から旅行以外で出たことのなかった自分がしばらく島根に滞在する機会もあり、田舎の人、食、風景の中に生きる豊かさ、美しさに打たれた。そこから翻ってみると東京の資本主義経済という不健康な巨大歯車の中、イチから下っ端としてお願いしてまで入れてもらって、わざわざ働きたくもない。この先明るい未来があるとも思えない。オルタナティブがあり得ないのだろうかという希望を持って手に取った本だった。
ところどころに光が差すこともないではないのだが、最後まで読み進めた結果は、「メインは今まで通り以外あり得ないから、まあ他の選択肢は予備電源程度に備えとこうよ」という大人なところに落ち着いていて、現実はまぁそうだよな、という諦め混じりの納得と、途中で見えたあの希望の光は何だったんだ、というやるせなさで読み終えた。→「人新世の資本論」に続く。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年8月7日
- 読了日 : 2012年1月12日
- 本棚登録日 : 2021年1月12日
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