左のページには、「あいうえお」の文字が一文字ずつ、右のページには、その音で始まる絵が描いてある。いわゆる子供向けの「あいうえおの本」。
この本は、大工の手仕事や、日本の古くからあるモチーフの回顧が意識されているのだが、そもそも本の発刊が1976年ということもあり、二重のタイムラグでさすがに絵のチョイスが古い感じは否めない。紙の切符、ソロバン、筆、果ては、周り燈籠(これは自分も調べてしまった)、、なんて、今の子供達の身の回りでは、見つけるのも困難になってきている。そういう意味では、少し時代とずれてきてしまっている。
にもかかわらずとても魅力的なのは、安野光雅さんの心遣いというか、本人も楽しんで描いたのが伝わるような1ページ1ページの絵柄たちだ。
「あんパン」の横には「アリ」が歩いていたり、「おかめ」と「おに」の「お面」が並んでいたり、「みかん」が「みこし」に乗っていたり。。
さらにその絵柄の周りに唐草文様のような装飾があるのだが、よく見るとこれが全ページ違っていて、やはりそのページの頭文字で始まるモチーフが重なり合って出来ている。。たとえば「に」のページは、「人魚、にんにく、にら、にんじん、にしきぎ、にしん」といった具合で、大人でもぱっと見では分からないものも多い。子供と一緒になって大人も絵探しができる、というかむしろそっちがメインかもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年8月28日
- 読了日 : 2021年7月29日
- 本棚登録日 : 2020年12月18日
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コメント 2件
淳水堂さんのコメント
2021/08/28
clloudthickさんのコメント
2021/08/30