✲✲ 才人の哀しみに心が共振 ✲✲
✲本作は堤 真一 氏の演技に圧倒された作品✲
TVドラマ「ピュア」のトオル役から、私は彼をフォローしているのだが。本作での石神役は何とも、何とも、切ない... やりきれない想いにさせられた。
石神が内面を押し殺している時のその「物言い」、
「視線」、「気だるい仕種」…
何をどう表現すればいいのだろう?“石神哲哉”を語るには…
人生の「勝ち組が湯川」で、「負け組が石神」と云うのはあまりに短絡的、且つ、ひとりの寄稿者として能が無さすぎる。(←これは事実)
湯川の口から「天才」といわしめた男=石神。
その石神の犯してしまった罪に対し湯川が…、
「その頭脳をもっと有意義なことに使ってほしかった…」と確か云っていたシーンがあったかと?
私は ふと ここに、湯川の冷ややかな心の表面にタッチしてしまったような気がした。
イケメン、頭脳明晰、そりゃぁ良うございましょうとも、湯川さんは…。
「でも、人間ってそれがすべてなの…?!
違うよね?!---」って、云いたくなるのです。
これではまるで、《愛する人(女)を護り抜くことは“大切”ではない!》と否定されてしまっているかのようで…。
(仮に百歩譲ったとしても「そんなことに意義など無い」と言いきってほしくない気が)
石神の一挙手一投足、そのすべてに哀愁を感じずにはいられなかった。
// もしも…、花岡靖子に出逢わなければ石神は…?
淡々と、䔥䔥と、貝が蓋を固く閉じるように縮こまって生きていけたのか?//
✲仮に、彼女に出逢わずとも
遠からず石神は、辿り着く場を心得ていて、
そこへと身を委ねる覚悟であったのか...?? ✲
堤 真一さんの奥深い魅力、その演技の巧さを否応無しに再認識させられる逸品だった。
- 感想投稿日 : 2014年10月9日
- 読了日 : 2014年10月9日
- 本棚登録日 : 2014年10月9日
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