/§**/ 「白鳥」と「黒鳥」の狭間で… \**§\
これは、ある意味、母親のインプリンティングが招いた悲劇と感じた。
母親が自分の果たせなかった夢を娘に託さんと、毎夜母親の手で巻かれるオルゴールの螺子が娘の心を呪縛していく。
オルゴールの曲である「白鳥の湖」が、どことなく歪んで聴こえてきたのは、私の耳の錯覚だろうか?
オムニバス形式の名作に「世にも怪奇な物語」がある。
その第2話目に「影を殺した男」というアラン・ドロン、ブリジッド・バルドーが主演した作品があったが…
私はこれと重なってくるものを感じた。
「白鳥」の部分も「自分」なら、「黒鳥」もまた人は誰もが「自分」の中に棲ませているような気がしてならなのなのだ。
《静と動》、《貞節と姦淫》、《善と悪》…
2本の細い脚のトゥシューズの運びとポートマンの痩身が傷ましいほどに、見事な葛藤の舞を見せてくれる。
一部のバレエの専門家諸氏の皆さま方からは、
本作でのポートマンのバレエ演技に対し不評の声(これでバレエが踊れているつもりなのか?的な…)が浴びせられていたようだが。
本作に在ってはじゅうぶんそのスキル(技)を発揮し得ていると思えた。
本作を深夜にヘッホンで観賞してみたところ、
彼女の《息遣いの変化》が実に見事で驚かされた。
大役を仰せつかった当初の彼女は常にどこか怯えていて、踊っている際の息遣いにも《怯え・不安感》がうかがえるのだ。
■しかし、黒鳥の描写を体得できた辺りから、息遣いが一変する!!■
*明らかに自己陶酔の域(息)に達しているのが分かる*
アロノフスキー監督が本作を製作するに際し、母親役のバーバラ・ハーシーとポートマンの相互間で《手紙のやり取りをしなさい》と命じたと洩れ聞いた。
★やはりこの物語の下敷きとして、それだけ《母と娘の繋がり》が求められていたのではないかという気がする★
〝子役で称賛された者は大成しない〟のジンクスを、
今後もどんどん破っていってほしい!
私はポートマンにそれを願い続けている。
- 感想投稿日 : 2014年10月10日
- 読了日 : 2014年10月10日
- 本棚登録日 : 2014年10月10日
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