◆ 家族のアナザーストーリー/父娘、兄弟、そして…姉妹 ◆
『ハンナ・アーレント』の二人、監督マルガレーテ・フォン・トロッタと、主演女優バルバラ・スコヴァが取り組んでいる本作。観終えた時に映画の公式サイトを検索し閲覧。
監督自身が本作を作るにあたって要望していた内容が分かり、なるほどとなった。
ドイツ人の女性シンガーであるゾフィは、ある日、父パウルから呼び出される。そしてそこで父の口から意外なことが切り出され・・・
それは何と、亡くなったゾフィの母エヴェリンに “うりふたつ”の女性が、ニューヨークでオペラのプリマドンナとして活躍しているという内容だった。父はゾフィに調べてきてほしいと頼むだが・・・
カタリーナというプリマは、まさしくゾフィの亡き母にそっくりだった。バルバラ・スコヴァが吹き替え無しでの発声のようで見事だなと感心した。また、ゾフィに扮したカッチャ・リーマンもご自身が歌っているとのことで、こちらも見事である。(※この辺りのことも含め、下方に添付する本作品公式サイトにてご確認いただければと思う)
驚いたのゾフィばかりでなく、会いに来られたカタリーナもまた同じであった。当初、互いは過去の出来事も何も知らされていない背景を抱え、どういうことなのかと戸惑いや怒りをあらわにする場面もあったのだが。
父パウルが夜ごとに魘されている状態を見て、ゾフィはしだに怪訝に思い始め・・・
それでもゾフィは父の言うなりの行動をとり、カタリーナから情報を得ようとする。
そして、父パウルが重い口を開き、過去の出来事を話し始める。パウルは兄のラルフと仲が悪く、いつもラルフは、「弟である自分の持ち物を欲しがった。何と妻のエヴェリンまでも兄が奪った…」というのだ。それが本当に真実なのどうか、戸惑うゾフィがそこには居た。
終盤はどこか、“家族のアナザーストーリー”のような形で展開していく。
時おり出てくるゾフィとカタリーナが歌うシーン、ふたりのテイストを対峙させるように見せていてその実、“心の奥のでは絆で結ばれている” いるのだと感じさせる演出が巧い。
兄弟の骨肉の争いと思いきや、どこか滑稽で、微笑ましくすら見えてしまうラルフとパウル、老兄弟の喧嘩はのシーンも印象的だ。
『ハンナ・アーレント』の時とは全く別人のようなバルバラ・スコヴァの美しさと、本作でも存在感のある演技に魅せられた作品とも言える。
*家族が大人になった時… もしかしたら、そこに意外な “ヒストリー”が隠されているかもしません*
※【生きうつしのプリマ】公式サイト=http://gaga.ne.jp/ikipuri/
- 感想投稿日 : 2017年9月11日
- 読了日 : 2017年9月11日
- 本棚登録日 : 2017年9月11日
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