羽化 (POE BACKS Babyコミックス)

著者 :
  • ふゅーじょんぷろだくと (2013年8月24日発売)
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本棚登録 : 155
感想 : 8
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これは極論と承知で言うが、BLジャンルに於いて学生もの(高校生もの・先生と生徒もの 等)には「良作」と「駄作」しかないと思っている。成人していない十代と言う年齢に於いて、性的なものが含まれるとなると、BLジャンルに甘えてファンタジーに走るか、誰もが通ってきた思春期と言う特別な時間の人間関係として真面目に真摯に捉えるしかない、と思うからだ。
その中間は無いと言ってしまいたい。『羽化』は無論良作の部類に入る。
ネタバレになってしまうからあまり書きたくないのだが、表紙を見れば内容は一目瞭然とも言えるので書いてしまうが、丈部家の跡目争いと言う部分では危機感の描写が足りないとは思うのだが、本作の構成上の素晴らしさがそれを凌駕する。主人公、物語の主軸、読者の感情を引っ張るのは表紙の少年である、と言う思い込みに一捻りがある。訳あって女の子の格好をしている男の子が一方的に救われるお話ではない。彼の前に現れるもう一人の少年、中村が持つ文字通りの苦痛。痛さと痛さを合わせて慰め合う描き方では決してない物語の組み立て方が実に素晴らしい。
なんだろう、サクっと描いてあるようで…情報量が詰まってる、と言う感じでもないんだけど、一読で「頭の中に一発で起承転結が入る」類の作品。何回読んでも頭に入りにくい、と言う時は、何書いてあるのか分からん、と言う場合と、情報量が多すぎて消化できてないから何回も読む、と言う場合があり、読んで分かりにくいから駄作、って訳じゃない。その逆の感じだな、この作品。すーっと頭に入るけど、かと言って噛み砕いて解り易く描かれている訳じゃない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 手放した
感想投稿日 : 2014年7月15日
読了日 : 2014年7月15日
本棚登録日 : 2014年7月4日

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