月に囚(とら)われた男 [Blu-ray]

監督 : ダンカン・ジョーンズ 
出演 : サム・ロックウェル  ケヴィン・スペイシー  ドミニク・マケリゴット  カヤ・スコデラーリオ 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
3.91
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本棚登録 : 186
感想 : 33
5

こういう密室の恐怖、って感じの映画好きだわー。宇宙が舞台になると必然的に人間は空気がなくては生きていけない、って縛りだけで密室勘半端ないし。『ソラリス』もそうだったっけ。『ロスト・イン・スペース』も好きだったりする。『2001年宇宙の旅』も見たくなってきた…サム・ロックウェルの独り芝居だけど、そんなこと全く気にならん。BGMも世界観が凄く伝わって来た。エンドロールで流れた音源が欲しい…。ネタばれるのであまり言えないが人工知能もの好きはハマる!!
自分と議論するのって凄いしんどそうだよなぁ、とか考えさせられるね、この世の中で一番争いたくない人間は自分なんだ…情報が遮断されると人間はよからぬことを考え出すし…なまじ想像力があるだけに。
幻覚見るとかも、これ、コピーを繰り返すことの弊害、と言う意味合いだったんだな。100%アンドロイド、つまり人工知能に任せるよりこっちの方が職務として成り立つんだろうか。地球へ帰る、家族に会いたい、と言う途方もないけど終わりは見えている希望を与えた方が仕事のモチベーションが上がるんだろうか。物凄く怖くて残酷な話だった。実質「誰も傷ついてない、生みだした人工物を使っているだけだ」と考えているんだろうか…マジ恐ろしい話だ。罪深いよ。

※ここからネタばれ

人工知能のガーティがなぜ手を貸したか、それもきっと、自分と同じ様に「人間に生み出されたに過ぎないもの」として同情したからじゃなかろうか。サムの本体は地球で普通の生活を送っている。月では、サムのコピーがずっとたった一人きりで過酷な任務に就いている。万が一コピーが死んでも、次のコピーが永遠にこの仕事を繰り返してる。こんな果てしない恐怖があるだろうか。コピーは劣化して必ず肉体が異変を起こして死ぬ、これを繰り返しているが、消耗品であるからその苦しみに対してのケアはないのだ…。事故に因り、あってはならないコピーが二人存在する事態が起こってしまい、自分たちが何なのかが解ってくる。ミステリの要素もあり、SFでもあり、人工知能の様に「人間らしきもの」に人間としての尊厳はあるのかないのか、色々考えさせられる面白い映画だった。人道に反することは世の中にいっぱいあるが、そこを声高に糾弾するのではなく、自分たちが何か解った後、二人が協力関係になり、行うさまが痛ましい…自分ほど怖い相手もいない代わりに、自分ほど「生かしたい」と思う相手もいない、と言う事じゃないだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2014年10月3日
読了日 : 2014年10月3日
本棚登録日 : 2014年9月26日

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