文学と精神分析―グラディヴァ (角川文庫)

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レビュー : 3
すりむさん 心理学   読み終わった 

フロイト理論ではそもそも文学作品とは作家の白昼夢の賜物であるからそこですでに願望充足が行われている。現実世界では達成できない訴えや建築や破壊。そしてもっとも強烈で頻度も高いものは愛情希求だろう。世界中に恋愛小説が後を絶たないのはフロイトのリビドー説をしっかりと証明し続けているかのようである。
この作品をフロイトに教えたのはユングであったそうだ。主人公が考古学者であるという設定からしてフロイト好みである。ヒステリー的妄想が娘の<治療>によって解放されハッピーエンドに至るあらすじはまったく絵にかいたような話だが、局所論、リビドー説によって巧みに裏付けられる。
「お医者様でも草津の湯でも・・・」という恋の病いは、「肉体への好奇心と嫉妬と残忍な征服欲」にさいなまれ、こころがそれを必死に<抑制>しようとするところに発現する。したがって恋の成就に勝る特効薬はないのであるが、この辺に精神分析的治療を考える上での微妙な問題がある。すなわち<転移・逆転移>というものだ。
フロイトに多大な感化を受けていたシュールレアリストたちはこの小説に大喜びしたそうだ。

レビュー投稿日
2012年1月10日
読了日
2012年1月20日
本棚登録日
2012年1月6日
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