この2月にスチュアート・ホールの訃報をきいた。彼が追究したのは、サッチャリズマム(ネオリベラリズム)への対抗措置として、既成左翼のモデルではなく(それもまた批判の対象に過ぎない)、大衆文化が無意識のうちにはらむ政治性を活用することだった。
本書が出版されたのは、9.11後、小泉政権当時である。
そしていま、3.11後の安倍政権…
ホールが(そしてその後継者たちが)解決しようとしたのは、人種や植民地問題に限定されたものではなかったが、その方法はキングやファノンよりずっと賢明で現実的だった。しかし落とし穴もそこにあったのである。彼らが読み違えたのは、権力者の欲望の強さや技術的巧妙さというよりも、あまりに快楽主義的な大衆(とくに彼らが期待をかけた新しい文化の創造者としての若者たち)だったのではないだろうか?
『現代思想』誌の最新号はホールを特集するようである。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
哲学思想
- 感想投稿日 : 2014年4月10日
- 読了日 : 2014年4月9日
- 本棚登録日 : 2014年4月9日
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