実践カルチュラル・スタディーズ (ちくま新書 345)

  • 筑摩書房 (2002年5月1日発売)
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本棚登録 : 147
感想 : 16

この2月にスチュアート・ホールの訃報をきいた。彼が追究したのは、サッチャリズマム(ネオリベラリズム)への対抗措置として、既成左翼のモデルではなく(それもまた批判の対象に過ぎない)、大衆文化が無意識のうちにはらむ政治性を活用することだった。
本書が出版されたのは、9.11後、小泉政権当時である。
そしていま、3.11後の安倍政権…
ホールが(そしてその後継者たちが)解決しようとしたのは、人種や植民地問題に限定されたものではなかったが、その方法はキングやファノンよりずっと賢明で現実的だった。しかし落とし穴もそこにあったのである。彼らが読み違えたのは、権力者の欲望の強さや技術的巧妙さというよりも、あまりに快楽主義的な大衆(とくに彼らが期待をかけた新しい文化の創造者としての若者たち)だったのではないだろうか?

『現代思想』誌の最新号はホールを特集するようである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学思想
感想投稿日 : 2014年4月10日
読了日 : 2014年4月9日
本棚登録日 : 2014年4月9日

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