ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 新潮文庫

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コナン.O.さん  未設定  読み終わった 

キングスレイ・ウォード(1932年~)は、カナダ生れの、主に化学関連の事業で成功したビジネスマン。
著者は、ビジネスマンとしての働き盛りのときに2度にわたる心臓の大手術を受け、死に直面した彼は、生きているうちに自分の様々な経験を息子に伝えたいと思うようになり、息子が大学に入学するときから、会社を譲るまで、20年に亘り30通の手紙を書いた。それを一冊にまとめたものが本書である。
全世界でミリオンセラーとなったが、邦訳は1987年に出版、1994年に文庫化された。私は、社会人になりたての頃に一度単行本で読んだが、久し振りに文庫本を手に取ってみた。
そのアドバイスは、大学での勉強について、社会人として出発するにあたって、誠実であれ、結婚について、金銭感覚について、礼儀正しくあれ、銀行融資について、多角経営について、読書の価値、人生の幸福とは、社員の解雇について、友情について、自分の財産管理について、ストレスと健康について、優れた指導者とは、仕事と生活のバランスについて、社長としての期待。。。と、公私に亘って幅広く、父親から息子に対してでなければ書けない、愛情に満ち、ときに厳しい内容である。
私は今や、著者が息子に会社を譲った年齢に近く、今回は、アドバイスを受ける側ではなく、アドバイスをする側の気持ちで読んだが、ここまで幅広い視点について、自らの考え、信念を伝えられる著者に感服し、羨ましく思った。というのも、全ての人間にとって人生は一度であり、様々な岐路において選択できた道は唯一つである。つまり、過去に戻って別の選択肢をやり直してみることはできないし、そもそも選択する時点で結果的な正解など存在しないとさえ言えるのだ。(こう言うと、啓蒙書の存在価値を否定するようだが。。。)
そう考えると、本書は、(タイトル通りに、また、そもそも公表されることを想定せずに書かれた)「父親より息子への手紙」であり、あとがきで訳者の城山三郎が書いているように、「20年にわたる父子の歴史の書・・・一種の教養小説」として読む方がしっくりくると感じるのは、天邪鬼的過ぎるだろうか。。。
(2020年4月了)

レビュー投稿日
2020年4月30日
読了日
2020年4月30日
本棚登録日
2020年4月21日
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