食の歴史は人類の歴史でもある。食べること=生きることである。
道具・火の利用、牧畜・農耕の開始という大きな変革を経て、人びとは、それぞれの土地から産する食材を、できる限り効率よく、それでいて美味しく食べられるように工夫してきた。古くからの伝統料理は工夫に工夫が重ねられた知恵の結晶と言える。それが世界各地で出会い、融合し、さらなるバリュエーションが生まれた。一方で、宗教の影響を強く受けた食材や料理もある。また、歴史上の人物が好んだという理由で伝わっている料理もある。
本書は、それらを踏まえて、「食材や料理の起源について、あらためて世界地図を通して見直してみた」(by編者)ものである。
内容は、世界を変えた新大陸の食材(ジャガイモ、トマト、トウガラシ、インゲンマメ。。。)、料理の国籍(ハンバーグ・ステーキ、ピーナッツ・バター、パエーリャ、カレー。。。)食べものの起源と語源(サクランボ、フォワ・グラ、ウナギ、サンドウィッチ、饅頭。。。)、美食家にちなんだ料理(ビーフ・ストロガノフ、カマンベール・チーズ、ザッハ・トルテ。。。)、食をめぐることわざ(「ナンはかまどの熱いうちに焼け」、「それぞれのブタにサン・マルティンの日が来る」、「卵からリンゴまで」。。。)と、縦横無尽、食に関するトリビアが満載である。
まあ、たかがトリビア。。。これらを知らなくても、食べることに困りはしないし、美味しいものはやはり美味しい。
しかし、されどトリビア。。。私は最近友人たちと「(東京で)世界の料理を食べ歩く会」を作ったのだが、本書のトリビアが、会食を一段と楽しいものにしてくれることだろう。
食の楽しみに、スパイスをひと味加えてくれる一冊。
(2019年12月了)
- 感想投稿日 : 2019年12月31日
- 読了日 : 2019年12月31日
- 本棚登録日 : 2019年12月31日
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