パスカル パンセ抄

  • 飛鳥新社 (2012年6月23日発売)
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『パンセ』は、晩年のブレーズ・パスカルが書き綴った断片的なノートを、パスカルの死後に遺族と関係者が編纂して1670年に刊行したもの。全訳は中公文庫版で644頁の大部であるが、本書はその前半から抜粋・翻訳された抄本である。尚、パンセとは、フランス語で「思想」の意である。
パスカルは、思想家であると同時に科学者であり、気圧の単位・ヘクトパスカルにその名を残しているが、パスカルが生きた中世ヨーロッパでは、科学が著しく進歩し、人間の理性こそ万能だという思想が急速に広まっていたが、そうした思想に危うさを感じたパスカルは、日々自分の考えをノートに書き留めていたのだという。
『パンセ』には、「人間は考える葦である」(断章347)、「クレオパトラの鼻。それがもう少し低かったら、地球の表面はすっかり変わっていただろう」(断章162)などの有名な箴言があるが、その他にも優れたものが少なくない。
断章253「二つの行き過ぎ。理性を排除すること、理性しか認めないこと」
断章267「理性の最後の行動は、理性を超えるものが無限に存在するのを認めることである。理性はそのことを知るところまで行かないかぎり、じつに弱いものである」
断章301「なぜ人は多数派に従うのか?多数派がより正しいからなのか?否、より強力だからである。なぜ人は昔からある法律や昔からの考えに従うのか?それが最も健全であるからなのか?否、それらがそれぞれ一つしかなく、多様性の根をわたしたちから引き抜いてくれるからである」
断章346「考えることが人間の偉大さをつくる」
断章397「人間の偉大さというのは、人間が自らを惨めだと知っている点において非常に大きい。一本の樹木は自分が惨めだということを知らない。したがって、惨めだと知ることは惨めになることだが、自分が惨めだと知ることは偉大になるということなのである」
300年以上を経た今でも、心に留めたいフレーズが溢れている。
(2014年6月了)

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感想投稿日 : 2016年1月11日
読了日 : -
本棚登録日 : 2016年1月11日

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