素晴らしかった。
「グレン・グールドは語る」でのインタビュイーとしてのジョナサン・コット氏があまりにもあのグールドと互角にやりあっていたので、彼の方に興味を持って邦訳が出ているものを読み始めようとした一冊目。
彼は長年抱えていた鬱病の治療として電気ショック療法を受け、過去15年の記憶を失ってしまった。
この本は著者の強い探究心と、記憶の喪失にもかかわらず豊穣な知識量に支えられたインタビューを収めている。
対象者は科学/非科学問わず、記憶・記憶することを探求し続けて来た人々との対話形式で綴られているが、やはり印象に残ったのは飛行機の中でウィルス性の病にかかり、記憶障害を抱えるようになった男性との対話。
生きるとは、とりもなおさず記憶によって支えられている。著者は「治療」によって人生の一部を奪われてしまったが、今を生きる筆者の心境が苦しかった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年7月24日
- 読了日 : 2013年7月24日
- 本棚登録日 : 2013年7月14日
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