幕末から明治へ、時代の荒波を駆け抜けた長崎の女商人・大浦慶の半生を描いた物語。
とても面白かった。
物語として読み応えがあったのは勿論、慶がとても魅力的。
そして何より慶が実在したことが一番の驚きだった。
「海はこの世界のどこにでもつながっとるばい」
幼い頃から海の向こうに憧れ眼差しを向けていた慶は、日本人で初めて異国相手に茶葉交易に乗り出す。
この時代の女性が言葉の通じない異人相手に堂々と渡り歩けるなんて。
例え失敗してもそこから這い上がる姿がとても素敵だった。
どんな苦境にあっても決して逃げない。
己の失敗を総身で受け止める度量。
真っ正直にがむしゃらに、前へ。
「今こそが私の正念場、戦たい」
人としての魅力が溢れるから大勢の人が助けてくれて、慶の周りには常に人が集まってくる。
これはぜひ朝ドラでドラマ化してほしい。
木内昇さんの『万波を翔る』と被っている箇所が多々あって読みやすかった。あちらは外務省目線なのでまた見方も違ってて面白い。
まかてさんの『先生のお庭番』や高田郁さんの『あきない世傳 金と銀』ともちょっと被っていて、色々思い出し比較しながらの読書となり楽しめた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
朝井まかて
- 感想投稿日 : 2020年1月6日
- 読了日 : 2020年1月5日
- 本棚登録日 : 2020年1月2日
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