このシリーズも早いもので第七弾。
おちかから聞き手を代わり、未だ奮闘中の”小旦那”こと富次郎が、今回は三人の語り手と相対する。
長年に渡り胸の内に隠し続けた秘事を、洗いざらい語り尽くした後の晴れやかさは相変わらず。
特に今回の語り手たちはとても好感の持てる三人で、富次郎もこうした良き出逢いから成長していくのだろう。
「語って語り捨てろ。聞いて聞き捨ててやるから」
富次郎のセリフも頼もしい。
それにしても”魂”と一口に言っても色々あって驚いた。迷魂、哀魂、怒魂、怨魂…と実に様々。
そして人の業の深さや思いの強さを推し量る難しさに、富次郎のみならず読んでいる私も切なくて泣けてきた。
富次郎も、手探りながらも徐々に聞き手が板についてきてますます期待が高まる。
そして三島屋の祝い事の嬉しさよ。
いつもは冷静なお勝の、歓喜の踊りは私も見てみたかった。
そんな三島屋の幸せに影を落とす不穏な存在…。
嫌な胸騒ぎを覚えつつ、無事を祈りながら第八弾を待ちたい。
三好愛さんの挿絵が可愛くてユーモラスで良かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
宮部みゆき
- 感想投稿日 : 2021年6月27日
- 読了日 : 2021年6月26日
- 本棚登録日 : 2021年6月21日
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