無伴奏 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (1994年9月20日発売)
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本棚登録 : 490
感想 : 56
4

こんなにも胸が苦しくなる小説は久しぶりに読んだ。
映画化され、そのCMでキャストと内容に興味を持ち、まずは原作と思って手に取った初めての小池真理子。
一つひとつの文章が美しく、心理描写が丁寧で読んでいるとするっと響子に入り込める感覚が気持ちよかった。
だからこそ、あの衝撃を響子と同じように感じることが出来たのだと思う。
何となく予感はしていたが、あのようにまざまざと見せつけられるとは。響子の悪魔がここまで影響を与えるとは。
これはただただ単純に愛の物語だと思う。混沌に溢れた世間で、2組の20歳そこそこのカップルが真剣に愛し合い、憎しみ合い、考えた物語だ。だから、この結末はあまりにも苦しく、美しい。
自分はここまで、ひとりの人のことを将来愛せるのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年12月20日
読了日 : 2016年12月20日
本棚登録日 : 2016年12月19日

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