人間狩り

  • KADOKAWA (2018年10月12日発売)
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本棚登録 : 295
感想 : 39
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 こういう小説を読むと、いつも少年法について考えさせられる。もし、自分の子どもが犯罪を犯したなら、もし、自分の子どもが少年法によって守られる年齢の子どもに被害を受けたなら。被害者と加害者では考え方が大きく変わることだろう。また、その犯罪者が社会復帰をしてきちんと反省をして全うに生きているのならば。逆に、何の反省もせずに罪だけ逃れて生きているならば。これもだいぶ考え方が変わってしまう。

 さて、物語は20年前に起きた少女殺人事件。加害者はその少女を殺害した後、目玉をくり抜いて被害者家族に送り付けてきた。加害者はすぐに逮捕されたが、きちんと裁かれることはなかった。加害者は14歳の少年だったのだ。
 そして現在、当時起きた少女殺害の映像がネットで売りに出された。映像を流出させたのは元少年Aの仕業か。それとも警察内部からの流出か。監察の白石が捜査に乗り出す。
 また、捜査と並行して<自警団>サイトの住民が動き出す。<自警団>サイトとは、警察が裁けないような犯罪者をネットにアップし晒しものにするものだ。カード会社で督促業務を行う江梨子は、あるクレーマーのことを晒し、<そこからサイトの管理人の弥生、それからカリスマの龍馬と知り合い、元少年Aに迫っていく。
 この2つの物語が重なる時、事件は思いもよらない展開を見せ、一気に解決へと向かっていく。

 いやぁ、面白かった。それぞれの正義や、少年法の是非を突きつけられ、大いに考えさせられた。また、同時にエンターテインメントとしても存分に楽しめる作品だった。作者の次回作にも大いに期待したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2018年11月11日
読了日 : 2018年11月11日
本棚登録日 : 2018年10月28日

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