消えた消防車 (角川文庫)

  • 角川グループパブリッシング (1973年12月18日発売)
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本棚登録 : 91
感想 : 12
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 犯人当てでもトリックがあるわけでもない。ストックホルムの短い夏と長い冬、そして陰鬱な空があるだけである。しかしそれが面白い。昭和にすると40年代のストックホルム、我々が憧憬を抱くあの東京と同じ時期なはずなのに、見方によっては暗い。しかしストックホルムが本当にそうであったのか、それは今もまだ見ぬストックホルム、だからわからない。しかし読む者の想像力を掻き立てるに十分なストーリーと内容である。
 一番好きなシーンはベテラン刑事が火事の証拠になる物証を発見して、自宅に帰るシーン。玄関を開けると長年連れ添った妻が夕飯を食卓に並べて待っている。「悪くないじゃないか」と刑事がつぶやくのだが、こういうシーンが悪くないのは洋の東西は問わない。日本の推理小説でも読んだ覚えがある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マ行の作家
感想投稿日 : 2011年2月18日
読了日 : 2011年2月18日
本棚登録日 : 2011年2月18日

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