甘粕正彦 乱心の曠野 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2010年10月28日発売)
3.78
  • (8)
  • (25)
  • (13)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 282
感想 : 27
4

ベルナルド・ベルトリッチ監督のラスト・エンペラーで、坂本龍一氏が甘粕正彦氏を演じて彼のことを知った。関東大震災直後にアナーキストの大杉栄氏らを惨殺した彼が、その後満映の理事長になったという、飛躍過ぎる経緯を不思議に思ったが、当時は特に深掘りすることなくそして時は過ぎた。佐野慎一氏が9月22日に亡くなった。彼の死去を伝えるニュースを読み、この作品を知った。甘粕正彦氏の事を深く知るには絶好の作品だと思い読んだが、大変面白かった。
昭和のぐちょぐちょとした暗部から、毒のように開いた花が満州に思える。虚像の国家で映画という虚像の世界を製作する組織のトップに立つ甘粕氏。甘粕氏本人も主義殺しの虚像をまとった人だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年10月23日
読了日 : 2022年10月10日
本棚登録日 : 2022年10月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする