[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
春秋戦国から秦・漢までの中国人物伝
一度は聞いたことあるような人物がほとんどの中で侠客あたりの人物はほぼ知らない人ばかりで楽しめた。
この時代の人物伝を読んでいると中国の歴史の根本はこの時代に生まれたのだということを強く実感する。
特に始皇帝の登場は中国大陸を常に統一するように方向付けしたという意味で画期的だと再認識した。

2023年12月31日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
本書は戦国時代には足利氏が力を失っていたと考えられていることに対し、再考を促す内容となっている。
最終的には三好長慶や織田信長といった存在に追放や放逐され、室町幕府は消滅することになるが、実際に力を失ってからも長い間、存在することができたのは何故かを解説している。
ここで大切になるのは「共通価値」という言葉で室町幕府が誕生してから生み出された儀礼や秩序が武士の間での常識となり、その常識が守られていたということになる。
最終的には足利氏による上からの改革が権威の崩壊に繋がり、室町幕府の消滅につながったということになる。
ただ、この上からの改革はやらなかったほうが良いのかと判断するのは非常に難しいことだと思う。力のない状態が続いているといつの間にか消滅している事もあるわけで、チャレンジしたものの失敗したということになるのだろうか。

2022年11月24日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
本書は戦国時代の足利将軍がどのような存在だったのから新しい研究成果をもとにわかりやすく解説している。
戦国時代の足利将軍は大名間を講和を行ったり、大名に朝廷の官位を授けたりし、大名はその代わりに資金や軍事力を提供するといったゆるい相補的な関係だったようだ。
相補的な関係を保つために将軍を支える大名を複数に分散させようとしていたようで、この辺りが義昭と信長が最終的に決裂した要因のようだ。
まあ、戦国時代の足利将軍が無力な存在ではないということはよく分かったが、複数大名へのリスク分散は統一組織の誕生を阻害する要因となり、戦国時代が終わらない原因の一つだったのではないかと感じた。

2022年4月1日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
本書を読むと一般的に考えられているような忍術を使うような忍者は存在しなかったし、忍びと言っても役割ごとに様々な人がいた事が分かる内容となっていた。
忍びというのは現代で言うところのスパイや特殊部隊、秘密警察だったりと様々な役割があることには驚いたが、これらの役割を一つにまとめると忍者になるのは納得した。
一方で武士と忍びは武士が知行が与えられるのに対し、忍びは一時の報奨のみだったりと身分が明確に分けられていることが印象に残っている。
しかし、戦国時代という乱世において大名が忍びを活用し、戦を有利に進めるために活用していたことがよくわかった。

2024年1月27日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
まず、内容以前に非常に読みやすく、内容がスラスラと頭に入ってくるのが印象に残っている。この天野忠幸の著書は読みやすく、面白いとは聞いていたが非常に印象に残っている。
内容としては『信長の野望』などの戦国時代を舞台とするゲームで初期シナリオで開始すると最初から大勢力だが、いつの間にか滅ぼされている大名といった印象で詳しいことはよく知らなかった。
しかし、この本を読む内に三好長慶は信長、秀吉、家康などの天下人よりも前に似たような政策を実施していることには驚いた。
三好氏が天下を取れなかった理由は室町幕府の権威が完全には堕ちきってはいなかったという事が要因の一つだろうか。
皮肉にも室町幕府の権威は三好義継が将軍暗殺を行ったことで堕ちきったという感じかな。
それにしもて近畿で発生した出来事が西国や東国などの情勢にも大きな影響を与えていたということも意外ではあるが、同じ時代なのだということがよくわかり、面白かった。

2020年12月27日

読書状況 読み終わった [2020年12月21日]

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
大友宗麟の生涯を小説にした作品となっている。
二階崩れの変あたりから物語が始まり、大友宗麟の死去までが物語となっているが、何を考えているのがよくわからないという感想だ。
大友家の勢力を大きく拡大することに成功した名君とも、キリスト教に執着し、大きな失敗をした暗君とも評価が極端に分かれる人物だということが強く感じる内容となっていた。
名家であるがゆえの柵を振りほどくことができなかったとも言えるのかもしれない。

2020年4月29日

[評価]
★★★★★ 星5つ

[感想]
昌幸が真田家の棟梁となり、九度山で死ぬまでが書かれている。
まずは昌幸が上野先方衆として策謀を行いながら着実に上野を支配するが、途中から武田家内部の争いに巻き込まれ無為を過ごしている様子は読んでいて少し悲しくなった。
その後は武田家の崩壊、織田家への臣従、本能寺の変、天正壬午の乱と続き、独立した大名としての確固たる地位を築き上げる様子が物語となっているが、途中から戦いに厭戦的な感情を抱いていく様子は意外な書き方だと非常に驚いたが楽しめた。また、昌幸が一貫して筋を通すことにこだわっていた部分にこの作品の昌幸の独特な部分を感じた。
それにしても著者の海道龍一朗氏の歴史小説の書き方は重要な出来事を詳細に書き、その間は回想という形で省略している。
この省く書き方は非常に大胆だと感じた。

追記
この最後から『華、散りゆけど 真田幸村 連戦記』につながっている。

2020年1月8日

読書状況 読み終わった [2019年12月27日]
カテゴリ 小説

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
昌幸が人質として晴信(信玄)の奥近習になるために甲斐に下るところから物語は始まり、長篠の戦いを経て真田家の棟梁となるまでが物語として書かれている。
父「幸隆」、兄「信綱」、「昌輝」との交流や主君「晴信(信玄)」、尊敬する人「信繁」との出会いと交流で武将として成長する昌幸が書かれているのが非常に印象に残っている。
最後に既になくなっている晴信(信玄)に対し、謝罪した後に真田家を次ぐ覚悟をする場面は何があっても何をしても真田家を残すんだという決意が見て取れたのが良かった。

2019年12月22日

[評価]
★★★★★ 星5つ

[感想]
九度山蟄居中で昌幸死亡直後から物語は始まる。
息子の大助改め幸昌に過去を話している途中で幸村の運命を大きく変えることになる使者が訪れる。
九度山でなにもできずに朽ちていく事に奈落に落ちるような気持ちを抱えていたところに訪れた機会に幸村は死花を咲かせ、少しでも香りを残すために戦へと身を投じる姿は胸にグッときた。
大阪に着いてからは昌幸からの教えと自らの経験を十全以上に発揮し、幕府側に一泡吹かせるために敵も味方も利用しながら策を練り上げていく様子はまさに往年の昌幸を思わせる働きぶりだったよ。
そして大阪夏の陣の家康本陣への突撃は手に汗握る内容で最後の展開も読者が考える余地を残した書き方は非情に良かった。

追記
真田丸の印象が強く残っているから幸村の声が堺雅人の声で話しているように読み進めた。

2019年12月4日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
著名な作家・研究者が戦国時代の数多くの武将についてを解説もしくは語る内容となっている。複数の著者が異なる人物を解説しているためか一見すると矛盾した結論が書かれていることもあるが、それらは定説であったり、最新の研究成果であったりを各著者がピックアップしているのだということがよくわかり面白かった。

2019年11月20日

読書状況 読み終わった [2019年11月19日]

[評価]
★★★★★ 星5つ

[感想]
本書での伊勢盛時(北条早雲)は比較的に新しい研究成果を元に物語となっている。今川氏忠の性質が盛時の姉であったり、盛時が京から駿府に落ちることになった後は甥である今川氏親の家臣として仕えていることがそれに該当していると考えている。
一方で禅寺で幼い細川政元と一緒に修行し、義兄弟のような関係出会ったことや二人で幕府を運営することを策謀していたことは捜索なのだろうが史実でも面識ぐらいはあっただろうと思う。
後半の伊豆討入りや小田原城奪取は臨場感があり、手に汗握る内容だった。さらには弟である弥次郎との別れは盛時に時には非情になることを決意させ、戦国大名としての覚悟を決めさせる事になったと感じた。

追記
ゆうきまさみ著『新九郎、奔る!』は年代は異なるが同じ人物を描いた漫画なので登場人物の名前が重なることも多く楽しめた。

2019年11月20日

読書状況 読み終わった [2019年11月13日]
カテゴリ 小説

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
秀吉・家康・政宗の実績から戦国時代の大名がヨーロッパ勢力とどのような関係を築こうとしたのか。最終的に鎖国という状態に落ち着いたのはなぜかを考察している。
新鮮だったのは鎖国ができたのは戦国日本にはヨーロッパ勢力との外交関係を断つだけの戦力が存在していたという考え方だったな。もし、戦力が存在しなければヨーロッパ勢力に占領されていたのではないかという考えは今までには聞いたことがない考え方だった。
まあ、そこにはヨーロッパ勢力が日本を占領する意味を見出していたという前提が必要になるんだけどね。
家康と政宗の関係に関する内容も中々に面白かったよ。

2019年8月25日

[評価]
★★★★★ 星5つ

[感想]
伊達成実の生涯を題材とした物語
元服前の時宗丸と呼ばれている時代、疱瘡で右目を失った梵天丸に対し、自分が右目になると言い切った様子はとても気持ちよかった。
その後、成実と名を改めて政宗の手足となり、その覇業を支えていく様子は非常に面白かった。その中で成実と政宗の心の距離が丁寧に書かれているのが印象に残っている。
出奔した成実が帰参する場面は政宗の言葉に感動した。

2019年6月23日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
楚漢戦争時代の名臣は聞いたことがある名前の人物が大多数になった。蕭何、曹参、夏侯嬰あたりが面白かった。
特に夏侯嬰の仁義を通す様子は読んでいて気持ちよかった。

2019年5月26日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
鎌倉時代~戦国時代の著名な人物をピックアップし、人物を通して各時代を解説している。
源頼朝に作られた武士政権がどの様に変化していったのか。どの人物が変化に関係していたのかが書かれていた。
そんな中で法然という人物は異彩を放っているなと感じた。本文中でも書かれていたが日本中世における宗教はあまり議論にならなかったように思うので新鮮だった。
しかし、足利幕府が日本全体の支配を諦め、近畿地方のみを支配し。他地域とは外交していたと考え方は面白かった。

2019年5月5日

[評価]
★★★★★ 星5つ

[感想]
『春秋名臣列伝』よりも知っている。もしくは聞いたことのある人物が多く存在している。
それにしても詳細を知っている人物は多くなかった。
楽毅、白起、王翦あたりは名前は知っていても功績をあまり知らない人々だったので偉大な人物だったことを改めて知ることができた。一方で藺相如、廉頗の2人が趙の末期に存在していた事自体が奇跡のように感じた。

2019年4月29日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
甲斐、信濃の戦国時代についての書かれている。
内陸国なだけあって、山や森に関する話が中心となっている。しかし、自然現象がとても大きな被害を生み出すことには驚いた大雨で村々が水浸しで大海と呼ばれる状態になるとは今では考えられないことだ。
また、善光寺が戦国大名の手でいくつもの場所に移動していたことには驚いた。てっきりずっと長野に存在しているのだと思っていたよ。時の権力者はすごい事をするものだ。
甲信の戦国時代は冷害や異常気象で大変だったのだということをよく理解できたよ。また、武田信玄が統一するまではバラバラだったということがよくわかった。
それでも最終的には一人で収めるには大きすぎたから江戸時代は分割統治されたということなんだろうな。

2019年2月17日

[評価]
★★★★☆ 星4つ

[感想]
信長、秀吉、家康という戦国三英傑を生み出した地域である東海地域が戦国時代はどのような場所でどのような歴史を歩んでいたのかが詳細に書かれている。
単に東海地方で起きた出来事を紹介するだけではなく、今川氏、斎藤氏、織田氏、北畠氏、徳川氏などといった諸大名がどのように東海地方で勢力を拡大していったのかが書かれており、非常に楽しんで読むことが出来た。

2019年1月20日

中々読みがいがあり、スラスラと読む事ができた。
実際にありえそうな状態にするための解説が分かりやすい
問題は地名がよくわからない事がある。
有名な地名は分かるが細かいのが分からない

2018年12月22日

織田信忠が生存している事以外はほぼ史実の流れと一緒だね
信孝の最後は史実より悪い最後な気がする。
乱心して、討ち取られるなんてな
後、気になるのが松姫が信忠と会う事が出来るのかな

2018年12月22日

2巻までは秀吉、家康の二人に散々な目にあわされた信忠が滝川一益(入庵)を軍師に迎え、秀吉に対する反撃を開始する。
京周辺以外では北信濃では真田と徳川が激突し、越後では上杉の新発田鎮圧の戦が発生、四国の伊予では毛利と長宗我部による領土の取り合いが発生している。
今後の伏線になりそうな事がチラホラと出てきているので、4巻以降がどうなるかが楽しみ

2018年12月22日

信忠vs秀吉の河内攻防戦は淡路島を抑えた信忠が少し勝ちと言ったところだと思う。
ただし、淡路島を後方から支える要の堺が秀吉に取られているから、淡路島をどのように支えるのか?堺をどうやって取り返すのか?が重要になってくる。
一方、四国、中国、東北と地方の戦いも活性化しており、史実では生まれが遅すぎた戦国武将『伊達政宗』が登場し、今後の展開が気になる所である。

2018年12月22日

信忠vs秀吉の対決は信忠有利に進んでいるみたいだ。
各地方も畿内の状況変化を受けて、信忠側に与する大名が増えてきているし、後は信忠が信長と同じ様に内側からの反乱に会わなければ天下統一は決まったなな

2018年12月22日

織田信忠と羽柴秀吉が畿内で遂に決戦を行う事となった。
前巻までに九鬼水軍を用いて、河内の一部を支配している信忠の方が有利ではあるが、秀吉には自慢の大阪城があり、どちらか一方が有利という事は出来ない。
一方、九州、奥州においても新たな戦が始まろうとしていた。
[more]
河内や半分を支配され、海上封鎖を行われていたとはいえ、秀吉がアッサリと負けてしまうとは思わなかった。やはり、秀吉自体に権威のようなものがなかった事が問題だったのだろうか。
一方、九州では島津が九州統一に王手をかけたところであるが、大友家の最期の抵抗を受け、多くの時間を消費してしまっている。
また、奥州は伊達政宗が調略と外交で蘆名を追い詰め、滅ぼしている。
前回の失敗を学習し、確実に成長していると思う。
まあ、ここまできたら信忠の勝ちはほぼ決まっているから、天下統一後の支配システムについてとワンモア本能寺が起きない事を祈るばかりだ。

2018年12月22日

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