最近読んだ本の中で面白い本のひとつでした。
鹿児島弁で会話が流れていくが、それがわからない人でも意味はわかるし、
京都や高知他の方言などもあって、リアリティが増して良かったと思います。
私がこの本で得た学びは下記の点でした。
(1)広い視野を持つこと
幕末から明治維新にかけての外国文明への開発は当時の日本人にとっては
現在の日本人が宇宙開発に向けるごとく視野を広げるのと同じくらいの
意味合いを持っているようです。だから、世界で戦争している場合ではなく
全世界一丸となって、宇宙開発、あるいは地球防衛に取り組まなくてはいけない
と思った。
だから、高齢者だからといって、旧守思想だけでなく、新しいものを好奇心を持って
進めるべきと思っている。
(2)武士道の精神についての理解が進んだ
やはり、いさぎ良くものごとを進めるべきと思っている。ひきような真似はしない、
万事きゅうすの場合は一身をかけて腹を切るように負けを認める。
また、2回も島流しにあっても決してくじけない不屈の精神は素晴らしい。
更には、上役に恥をかかせない、貧困にあえぐ人民を助ける、まさに現在の政治家に
見習って欲しい西郷隆盛流の生き方である。
(3)幕末から明治維新までの断片的な知識が流れで理解できた
幕末から明治にかけての各種事件の背景をベースに読み進んで、つながりが
理解できつつある。これは、西南戦争に至るまでの大久保利通との交渉が
青年時代の島津斉彬公に心酔した西郷と、薩摩国父である久光公に師事
した大久保との違いが根本にあったのかとわかった。
とにかく、西郷隆盛の周りを形作った、母の満佐、最初の妻須賀、お由羅騒動のお由羅、
奄美での愛加那、本妻のイト、天璋院篤姫などの女性陣への対応がよく描写
されている。特に愛加那の気迫と彼に対する愛は素晴しい。
これだけ、人間味あふれる西郷隆盛が今でも鹿児島県人のみならず、西郷南洲公の
遺訓を著した、庄内酒田の人々、更には全日本人から敬愛されていることも理解できた。
ただ、日本のお札になっていないのが、残念である。
明治150年も過ぎたので、もうそろそろ、良いのではないかと思う。
とにかく、このような長編で史実が勉強できる小説を上梓していただいた、林真理子先生
に感謝です。
- 感想投稿日 : 2022年12月21日
- 読了日 : 2022年12月29日
- 本棚登録日 : 2022年11月9日
みんなの感想をみる