「嫌な取引先は切ってよい」 楽しさを追求する社長の非常識な働き方 (ノンフィクション単行本)

著者 :
  • 角川書店 (2013年10月17日発売)
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感想 : 11
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刺激的なタイトルに惹かれて選んだ本。著者は従業員20数名の町工場の経営者です。

「多くのことは好き嫌いで考えるんだから、ビジネスだって同じ考えをすればうまくいくんじゃない?」これが、嫌な取引先は切っていいと考えるようになったきっかけだといいます。

なるほど僕たちは、食べるものも着るものも住むところも自分が心地いいと思うものを選んでいる。

ところが。ひとたび仕事となると、自分にとって心地よいものを選ぶという感覚は忘れさられてしまうようです。

心地よさを得ることと経済的利益を得ることは、背反するものである。金銭的価値は、我慢の上に成り立っている。こうした常識に対するアンチテーゼが、本書の主張なのでしょう。

とはいえ、好きなことばかりやっていては仕事にならぬ。これは事実でしょう。そんな時はどうするべきか。

著者は「ぜんぶ私が請け負う」といいます。契約解除の通告も、切った取引先の残務処理も、切った取引先数以上の(1件切ったら10件獲得するという!)新規取引先の獲得も。

好き=楽ではない。好きだから頑張れるし、相手を尊敬できるし、他に負けたくないと思える。自社の経営に対する覚悟があらわれているようで、好感が持てました。

好きな仕事をしながら、その仕事についての責任も同時に背負っている。非常識なようで、まっとうな経営哲学のように思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事術
感想投稿日 : 2021年5月20日
読了日 : 2021年5月20日
本棚登録日 : 2021年4月27日

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