文明が不幸をもたらす 病んだ社会の起源

  • 河出書房新社 (2020年6月23日発売)
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●ウォール街が中流階級の残骸から最後の富をむしりとり、エネルギー企業が地球に穴を開けて秘密の毒で帯水層を汚染しても、政府はそ知らぬ顔だ。全人類が帯水層を必要とするのに、私たちはそれを守る術を知らない。うつ病が様々な障害の最大の原因であり、急増しているのも不思議は無い。
●用をたすときに便器に座るようなら、あなたは間違っている。他の霊長類と同じく、人体は排便時にはしゃがむようにデザインされているのだ。便器は進化が与えたデザインを台無しにするので、人は痔、便秘、その他種々の不快な症状に悩まされることになる。
●「余った食べ物を入れる最良の場所は友人の胃袋だ」彼の友人は食べ物が余れば自分に分けてくれると知っているのだ。
●つまるところ、私たちが種としての能力と生存と実現できるのはコミュニティーの中なのだ。一人一人をとってみればさして有能ではない。ところが、コミュニティーで作った武器を手に数人集まれば、マンモスでも倒すことができる。
●人類はずっとそうしてきたと言うのに、移動する能力「人類誕生時から存在した社会の柔軟性」が失われたのだ。
●お金は「過ぎたるは及ばざるがごとし」なのだ。しかし私たちはお金が収穫逓減の例外だと信じる。だからいつ生産をやめればいいのか、いつこれまでの稼ぎを持って逃げ出すべきかを知ることがとても難しい。
●ドーキンスいわく、他者の苦しみに対する無関心は自然選択の必然的な帰結である。ダーウィンはこれに異を唱えるだろう。彼は思いやりと利他主義が、社会的な動物に明らかな進化上の利点を与えると考えていたから
●他者の苦しみを感じられない性質は、極端な富の格差によって生じる不快感を打ち消すための、心理的な順応であると考えて良い節がある。金持ちの方がずるいことをしがちであると言うことだ。
●現代人が長寿になったと言うより、死のプロセスを長引かせているだけだと言うのである。
●私たちは滅亡への道をひたすら突き進んでいるが、選ぶことのできる未来がある。その選択肢のうち、「受容の道」「過去に学ぶ道」この選択肢なら私たちは生き延びることができるだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生物化学読物
感想投稿日 : 2021年3月8日
読了日 : 2021年3月9日
本棚登録日 : 2021年1月27日

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