●「平等」とか「人権」とかいった語彙以外に社会的価値判断を下す言葉がないかのように、単純化された概念を人々の心に浸透させ、あらゆるところにこの尺度を持ち込んで、人間を非難し、中傷し、裁断する粗雑な流れが蔓延している。しかもその流れに対して、面と向かってきちんと反応する人は少なく、多くは感情的な不満を表明してガス抜きをはかることに終始している。これはあえて名付けるなら「反差別」全体主義である。
●ごく常識的な感情の持ち主なら「障害を持つゆえにわが子を誇る」気にはなれないし、この世界を「ひどい世界」と決めつける事に対しても疑問に思うだろう。また子供がこの世に生を受けた意味を「この酷い世界を変えるために生まれてきた」などと言う所に求めはしないだろう。さらに、障害を持つこと自体が「すごく嬉しい」と感じるのは倒錯しているとしか考えられないし、自分の子が「勇気ある子」などと言う判断はこんな文脈で下すのは不適切だと感じるだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会一般
- 感想投稿日 : 2022年2月15日
- 読了日 : 2022年2月14日
- 本棚登録日 : 2022年2月13日
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