- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106036934
作品紹介・あらすじ
昭和初期、正真正銘の「セレブ」として、パリの社交界で輝いていた日本人がいた。木綿で巨利を得た貿易商の家に生まれ、ロンドン留学。全盛期のパリに移り、イザドラ・ダンカン、ラヴェル、藤田嗣治ら著名文化人と交流し、千代子夫人のファッションはパリ中の注目の的。さらに、フランス政府にパリ日本館の建設費まで寄贈した「東洋のロックフェラー」一代記。
感想・レビュー・書評
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面白そうなタイトルだな…と思ったら「馬車が買いたい」「明日は舞踏会」の鹿島茂さんの本だったので、手に取りました。
それにしてもまあ、昔の紳士たちは格好良かったのですね…。生活することが仕事、という恵まれた人々は、そう多くはありませんが、薩摩治郎八という人は、まさに生きることが芸術であり、仕事であった。勤勉に働いて、慎ましく暮らすことの幸せは、我が身に似合うものと思っていますが、読むだけなら、自分と全く違う人生を歩いた人のことを知りたいと思います。
無理に真似したり憧れすぎる必要もないけど、すごい人がいたんだなあって、感嘆するばかり。夢のようなお話の中にある、ひやりとするなにかに触れられたらそれこそ読書の楽しみというものです。
それにしても、この本を読んで印象的だったのは、お金に飽かせた豪遊が素晴らしいのではなくて、良いものに囲まれて生きた人は、生き方の進退挙措が
潔い気がすることです。その点で、薩摩治郎八という人は、きっと一級だったに違いありません。
大正から昭和のある時期までの爛熟した文化が生んだ洗練を身体と心で具現化してみせた人たち。心優しく教養も高く、胆力もあって。芸術や美しいものを愛する、やっぱり桁外れですね。
ところで、この本をきっかけに、獅子文六さんの本を読みたくなりました。確か実家に一冊あったけれど、変わったお名前だなって思っただけで子供の頃の私は見向きもせず、処分してしまった覚えがあります。人気作家だったのよ。知らないの??と呆れられました。むー、一体何の本を手放したのでしょう。関係ないけど気になる~!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
晩年、無一文になって合羽橋の裏、松葉のアパートに住んでいたと思うと不思議な気分だ。