散り椿 (角川文庫)

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本棚登録 : 465
レビュー : 65
著者 :
dangoさん  未設定  読み終わった 

葉室麟さんの作品はいつもパワーをもらえる。
大きな組織力にはびこる悪に対して、無力かと思われる小さな正義が、友情や家族愛の強いきずなで実を結ぶ長い過程が物語の主軸になっている。

今回特に心に残ったのは、大きな組織の中で自分の身を守るために悪を悪と指摘せずに組織の残ることで精いっぱいだった若い侍が、小さな正義に次第にひきつけられて、自分の身を守ることより大切な人を守り、悪を懲らしめる側に成長していく姿だった。

若い世代に身をもって生きざまを知らしめるようなぶれない信念を、果たして今の大人は持っているのだろうか。
自分を見つめるに、恥ずかしながら未だにぶれて迷って後悔を繰り返す日々を過ごしている。


人とかかわると何かしら思いを残す。「あー言えばよかった、こー言えばよかった」は常で、あんなこと言ったけどどう思ったかしら?あの話はどういう意味?本音では私に何が言いたかった?など、会話の一つ一つが気になったり、表情を思い出して私の気持ち伝わったかしら?と思い出したりし始めると、結局出会って話したこと自体を後悔するようになる。


十年以上前のわずかな会話や文のやり取りから、相手の本心に心を寄せ、それを生きていく糧にして目の前の正義を貫いていく物語に、今更ながら自分の未熟さを思い知らされる。

レビュー投稿日
2018年9月14日
読了日
2018年9月13日
本棚登録日
2018年8月13日
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