追想五断章 (集英社文庫)

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本棚登録 : 3294
レビュー : 350
著者 :
darkhorseさん ミステリー・ホラー   読み終わった 

面白かった。
あんまり期待せずに読んだのだけど、期待以上に面白かった。

主人公は経済的な事情で大学を休学し、
古書店を経営する叔父のところに居候しており、
古書店を訪れた女性に依頼され、小説5篇を探していく
というストーリー。

殺人事件の容疑者が残した小説を探していく過程が
うまくて引き込まれてしまう。

人が次々と殺されていくミステリーのような
切迫感・緊迫感が望めないはずの、
小説5篇を探していくというだけのストーリーで
ここまで読者を物語に引きずりこませるのはすごい。

5篇の作中作も秀逸で、不思議な味わいがある。

時代設定はバブル崩壊後の90年代初頭。
日本が失われた10年という暗い時代に突入していく雰囲気と
大学生でもない身分不定の居候アルバイトという
何者でもない主人公の暗さが全編通して感じられる。

「アントワープの銃声」という殺人事件も、
海外で行われた妻殺しの疑惑ということで
三浦和義の「ロス疑惑」を彷彿とさせるもので、
暗い雰囲気が読後も心に残る作品だった。

レビュー投稿日
2012年8月25日
読了日
2012年8月25日
本棚登録日
2012年8月18日
3
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