「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年 (中公新書)

  • 中央公論新社 (2009年7月25日発売)
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終戦のタイミングで、東京、ソウル、台北、新京、パラオ、南樺太・千島という当時の「内地」で何が起こったのか。戦後に日本という枠で残った東京以外では、統治の移行が行われていくのだが、そこでの権力委譲が行われたストーリーがそのまま戦後の各国史に大きな影響を与えていたことはあまり知られていない。ソウルでの韓国人への権力移行は受け皿に失敗し、米軍への権力移行へと転換され、米軍に後押しされた李承晩が初代大統領となる。台北では、台湾人民主家への権力委譲が画策され、平穏な移行が進むが、蒋介石の命を受けた陳儀により外省人国民党の権力統括が進み、台湾民主化は排除され二二八事件へとつながり、日本人は最終的に日本へ引き揚げていくことになった。新京では、対ソ戦が終戦後も続き権力の空白地帯が生まれる中、中国共産党が勢力を築き、第二次国共内戦の地盤となった。パラオでは、アメリカの信託統治として南洋庁の権力移行が行われ、住民の多数を占めた日本人沖縄人は米軍支配下の沖縄へ、台湾人は台湾へ、韓国人は韓国へと帰っていく。樺太は、対ソ戦の混乱の中、最後まで民衆軍が死体の山を築き、一部は北海道への引揚げが行われるも、一部の日本人はソ連国民として生きていく道を選ぶ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Historical Science
感想投稿日 : 2014年4月23日
読了日 : 2014年4月22日
本棚登録日 : 2014年4月22日

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