文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

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レビュー : 60
制作 : Jared Diamond  楡井 浩一 
Decoさん  未設定  読み終わった 

イースター島やノルウェー人のグリーンランドでの生活など、崩壊していった文明を紹介した上巻に対し、成功例や近代における問題を指摘する下巻。

江戸時代に森林の管理を木々の本数単位で管理していたことを始めて知り、その意思決定をした背景や当時の利害関係などに興味が沸いた。
(鎖国をしていた分、国内の資源を大切に思う心が備わっていたのだろうか)

一方で、1994年という近代において、ルワンダで大量虐殺があったということを恥ずかしながら初めて詳しく知った。(やはり、学生時代に近代については真面目に聞いておくべきだった)
フツ族とルチ族という民族間の憎悪の歴史もさることながら、人口増加に伴う食糧難や経済的困難が一般市民による虐殺に繋がったという話は、考えるだけで恐ろしいが、人間の側面を考える上で、重要な示唆だと思う。

もし、ジャレドダイヤモンドの言うように、世の中の凶悪犯罪が資源や土地の豊かさと人口増加に伴う1人当たりの配分と強い相関があるとするなら、まずはそのバランスを取るところから国政を考える必要があるのではと思わされる内容だった。

そして、ボーダレスな社会となっている今、世界的にそのバランスを取れる組織が必要なのだろうが、個人ごとの動機が社会性を担保できない限り、結局は利権にまみれてしまうのだろうと思ってしまう。悲観的に考えると、全ての資源を食い荒らしてしまった後の対策フェーズにおいてのみ、人類は一致団結できるのかもしれない。

また、これまで、中国の一人っ子政策は、経済成長に大きくブレーキをかける悪手だと思っていたが、この本を読んで考えを改めた。むしろ、政策を打たずに人口増加が続いていたら、今の公害どころではなかっただろう。

そもそも、経済成長は人類の最終ゴールにはなり得ない。仮に、全人類が飢えないことが短期ゴール、幸福が最終ゴールなのだとすると、組織や国が追うべきKPIの形は、変わっていくのかもしれない。
だとすると、個人の(周囲に悪い影響を与える)我欲をいかに制限するかが今後の主題となりえそうだ。

レビュー投稿日
2018年11月26日
読了日
2018年11月26日
本棚登録日
2018年11月26日
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