※後編まで読んだ感想
勾玉シリーズが大好きで、その流れを汲む作品として大変楽しみに読み始めたが、わりあいあっさりと読み終えてしまった。
面白いことは面白い。
評価を4にするかどうかは迷った。
けれども、これまでの作品に比べると、没入感に乏しかった。
それは単に私の感性が変わってしまったせいなのかもしれない。
主人公の二人について、ただただ……子供だなあ、という印象しか受けなかった。
行き当たりばったりで、基本的には自分の欲望だけを叶えていった二人だ。応援したい気持ちになりそこねてしまった感がある。
最後にたどり着く場所は草十郎の葛藤や迷いを超えたところにあり、納得というか「良かった」という思いはしたのだが。
この作品の魅力は、二人の作り出す世界、現世を超えたところにある未知の世界に入り込むときの陶酔感だ。
こればかりは表現の巧みさに感嘆した。
自分の知らない情景や感覚を、まるで見知ったかのように感じられるすばらしさ。
願わくば、この力をもっとましなことに使って欲しかったものだ。
この年齢じゃあ分別が足りないのも無理はないのかな……。愚かだったとまでは思わない。ある意味等身大の若者を描けていたといえば、その通りだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本作家
- 感想投稿日 : 2017年5月7日
- 読了日 : 2017年5月7日
- 本棚登録日 : 2017年5月7日
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