アスペルガー症候群や、回避性愛着など、相手への共感性が乏しいパートナーを持った場合に発症する可能性のある「カサンドラ症候群」について紹介した本。
この著者の本は「アスペルガー症候群」「回避性愛着」それぞれを読んできていているが、今作ではこれらの傾向を持った人と深くかかわる家族のメンタルに焦点が当てられています。
興味深いのは、人格が周囲の人間関係から独立して存在するものとも言い切れないことでしょうか。
個人の性格については、当然、独立した人格として他者からの影響でも変わらない部分はあります。
しかし、その性格がどのように発現するかは、近しい人との関係性によるところが非常に大きい。回避性愛着スタイルのパートナーを持つ不安型愛着スタイルの人が、必ずしも上手く行かないわけではなく、安定した関係性を築けているケースもあるわけです。
その場合は、不安型愛着スタイルの人であっても、相手に執着したり、まして二分法的認知でもって相手を攻撃することもなく、穏やかな状態でいられるということです。
関係性にとって、必要なのは互いの「安全基地」であるということだと著者は言います。
2人の関係性についてはどちらかが悪いということではなく、互いの愛着スタイルの特徴を知って協力していくことが望ましいようです。
統計によると、離婚を経験した男性の寿命は10年、女性は5年、短い傾向にあるそうです。
だからということでもないですが、相手だけでなく自分の中にもある問題に目を向けず、関係を終わらせて次を探してもまた同じ結果になる可能性があるとのこと。相手だけでなく、自分のことも知り、関係性を修復していくことは、夫婦間に限らず、さまざまな人間関係を豊かにしていくことでもあるかと思いました。
ーー重要な情報ーー
pp63-64
「大人のADHDと呼ばれるものも38年間の研究の
結果、その9割は、発達障害ではなかったという事実が判明した。-(中略)-発達特性以外にも、養育環境の影響による愛着障害やパーソナリティ障害を抱えていることも少なくないし、さらにそこに職場環境のストレスが加わり、ネットやゲーム、アルコールへの依存症、打つなどの気分障害を来し、それらがトータルに作用した結果として、共感性の低下が起きている場合もある。」
「発達障害傾向=治らない」という認識だったけれど、共感性が低いのは、要因が重層的に積み重なった結果であり、環境の変化で変わる可能性もあるということだと解釈しました。
参考)
「回避性愛着障害」
https://booklog.jp/item/1/4334037755
「アスペルガー症候群」
https://booklog.jp/item/1/4344981421
- 感想投稿日 : 2019年1月5日
- 読了日 : 2019年1月5日
- 本棚登録日 : 2019年1月5日
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