トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー

  • 早川書房 (2023年10月6日発売)
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感想 : 66
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なんだか最近レトロ・ゲーム愛が止まらない。年とった証拠か。
そんなゲームの制作を背景にした男女の物語があると聞いて読んでみる。うーん、男女の友情?愛が一周回って友情ってなる?
中身はそんな薄っぺらな話ではなかった。80年代から2010年代付近までのゲーム開発に情熱を傾ける人々の物語であり、その時代ごとに変わっていく愛についての物語でもあった。男女の愛が一周まわって友情になんかならないから悲劇も生まれるわけだけれども、そんな中でも結局尊敬しあい支え合って生きていく姿はなんだかホッとするとともにとても切ない感じです。

登場人物の一人に、愛とは結局のところ何ものだ?と語らせています。「進化のために競争を忘れてまで他人の人生の旅路を楽にさせてやりたいと願う不合理な欲求でないとしたら、いったい何だ?」これについてはドーキンスがその著書「利己的な遺伝子」の中で既に答えを出しているように思える。そこを乗り越えての物語になっていたらもっとハードな作品になっていたのではないかと思います。それでも十分に胸にせまる作品であり、また読んでみたくなります。傑作。代表作でもある「書店主フィクリーのものがたり」も読んでみようかな。
さらに、自分でもゲームを作ってみたくなります。やっぱりゲームはプレイするより作る方が面白いのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月23日
読了日 : 2023年11月23日
本棚登録日 : 2023年11月23日

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