内容以前に市井の一研究者の著作という点に頭が下がる。
戦前の宮内省が天皇家の金庫番として機能していたこと、それが持ち株会社を通じた財閥支配の構図と酷似していること、むしろそのモデルにして最大の財閥が宮内省であったこと等が実証的に記述される。天皇の訪米が実はロックフェラー家との20年越しの「約束」であったことなど歴史の裏の人間模様が興味深い。真偽は不明だが、戦前、天皇家が大株主であった日銀の、現在の株主が他ならぬロックフェラー家であるらしいことが、本書を読めばある種必然であるようにも思えてくる。
以下、興味深げな参考文献。
ピーター・ウェッツラー、森山尚美「ゆがめられた昭和天皇像」
ハーバート・ビックス「昭和天皇」
イアン・ブルマ「近代日本の誕生」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年3月1日
- 読了日 : 2012年2月28日
- 本棚登録日 : 2012年2月28日
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