異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

  • 英治出版 (2015年8月22日発売)
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まずはコミュニケーションのローコンテクストとハイコンテクストの差を知ろう。ハイコンテクストなコミュニケーションでは、そこでの会話はとにかく言外の意味や暗黙の了解が多く、少ない言葉数に多くの意味が込められて、皆が基本的な常識を知っている前提である。一方ローコンテクストなコミュニケーションでは、1つ1つの事項はとにかく細かく言葉にされ、逐一確認をしながら先に進んでいく。そう、ハイコンテクスト世界一は日本であり、ローコンテクスト世界一はアメリカだ。
さて、日本人からすると欧米人は誰をとっても論理的であり、おしゃべりであり、基本的に建前は言わず、そして時間にはルーズ、そんな印象があったりする。ところがどっこい実際には各国の民族差というのはあるもんだ。だから例えばアメリカ人とドイツ人が会議をすれば、アメリカ人側からするとドイツ人はやけに批判的に感じるし、ドイツ人からするとアメリカ人の物言いは結構回りくどい。これはドイツ人のコミュニケーションがローコンテクストであり、かつ極めて直接的なネガティブ・フィードバックを好むから。一方アメリカ人は同じくローコンテクストながら、ネガティブ・フィードバックは間接的なものを好むことによる。そう、アメリカ人ははっきり直線的というイメージだが、存外批判はオブラートの中に包んだものの言いようをする。そして日本はハイコンテクストかつ間接的なネガティブ・フィードバックの世界代表だ。そりゃあコミュニケーションの齟齬が生じるよね、と。アングロサクソンの中ではアメリカがローコンテクスト代表、イギリスはハイコンテクスト代表らしい。だからイギリス人はブラック・ユーモアを解するが、アメリカン人にはそれがジョークだという説明が必要だという。
全体になるほどねえ、という感想を抱くが、難しいのは国内では国内で相対的なハイコンテクスト、ローコンテクストな人の間における齟齬が生じるわけだ。精神科医的にはASDやADHDの人はローコンテクストな指示でないとわからないという気がするし、定型さんたちはハイコンテクストと言えよう。最近私がよく読む戦国武将たちはやたらとハイコンテクストな内容でやり取りしていますな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般科学
感想投稿日 : 2018年9月21日
読了日 : 2018年9月21日
本棚登録日 : 2018年9月21日

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