ニーチェとの対話 ツァラトゥストラ私評 (講談社現代新書 501)

著者 :
  • 講談社 (1978年3月17日発売)
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本棚登録 : 195
感想 : 19
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哲学者の今道友信先生による『ツァラトゥストラ』の講義を聴いている中で、西尾幹二の名前が登場した。今道先生も「先生」付けで、ニーチェ研究の功労者だといわれていたので、ふと思い出して読みだした。

ツァラトゥストラ論ではない、と著者も言っているように、全体をつかむようなものではなく、ツァラトゥストラの一句を人生論として読み込むというようなもの。しかしその解釈の豊かさが響いた。ツァラトゥストラだけ読むと、ニーチェを勘違いしてしまう。彼は自身をツァラトゥストラに置き換えて語っているだけではなく、対話をし時に対峙し、時にツァラトゥストラに叱責させ呆れさせる登場人物一人ひとりがニーチェ自身だという。キルケゴールとはまた違う仕方で、しかしこれほど鮮やかで執拗に『実存』を抉ったニーチェに脱帽する。彼の人生の苦悩と晩年の孤独、そして死を思ってみたときに、表現に難しい悲しさを覚える。しかし彼自身をもって彼の思想なのだと、言葉ならぬ言葉で語っているよう。ただただ脱帽である。


17.9.8

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2017年9月13日
読了日 : 2017年9月8日
本棚登録日 : 2017年8月25日

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