「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー

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レビュー : 245
著者 :
いち、に、さん 芸術   読み終わった 

 ひぐちアサさんの『おおきく振りかぶって』、田中モトユキさんの『最強!都立あおい坂高校野球部』、コージィ城倉さんの『おれはキャプテン』、さらに言えば岩崎夏海さんの『もしドラ』など、「甲子園など程遠い高校野球部が予想外な戦略を立てて甲子園出場を目指す」というのは野球ストーリーにおいて、一種のお約束となっている。とはいえ、それらはみなフィクション。現実には起こり得ない……と思ってみたら、現実にもそんな野球ストーリーを実現しようとする高校野球部があった。それがタイトルにもある「開成高校野球部」だ。

 そうは言っても、開成高校野球部はまだ甲子園に出場していない。冒頭で高橋さんが述べているとおり、本書は「途中経過」である。いつか噴火するだろう活火山の動向を見守るように、開成高校野球部の動向を見守っているわけである。これで本当に開成高校が甲子園に出場する日が来るとしたら、間違いなくそのストーリーは語り継がれるものとなるだろう。その日が来るのが楽しみだ。

 さて、本書はそのような期待を煽るという意味で、非常にワクワク感のある一冊ではあるのだが、開成高校の生徒への偏見を持たせるように作られてしまった感も否めない。いわゆるステレオタイプ的に生徒の受け答えが紹介されているのである。すなわち、開成の生徒は理屈っぽく、あまり流暢なコミュニケーションを得意としていない。それが、本書にある開成高校生の様子である。
 本書は開成高校の生徒は「ガリ勉くん」だ、という偏見――もしかしたら、現実にそうなのかもしれないが――をより強固にする本でもあるのだ。その点は非常に残念であった。


【目次】
1回 エラーの伝統
2回 理屈で守る
3回 みんな何かを待っている
4回 結果としての甲子園
5回 仮説の検証のフィードバック
6回 必要十分なプライド
7回 ドサクサコミュニケーション
8回 「は」ではなく「が」の勝負
9回 ややもすると甲子園
謝辞

レビュー投稿日
2012年12月3日
読了日
2012年12月3日
本棚登録日
2012年12月3日
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