カテゴリ 仕事/Web

タイトルどおり、世界各地の怪しい場所へ気の向くままに出向きました、という本。個人的には、第二部の『辺境の探し物」が面白かった。

南米アヤワスカ体験記に中国の土楼見物に野人探し、今となっては少々知名度も上がったこれらだが、実は若き日の高野秀行が率先して探しに出ていた、という。今読んでも十分面白い。

あとがきの著者曰く、どの旅も「若気の至り」だそうだが、都度ちゃっかりネタにありつく嗅覚と、あわや危機一髪の中での僥倖に恵まれ、そして魔境秘境の何気ない日常をなんとも面白可怪しくまとめてしまうそのセンスは、すごいを通り越して、いやはや痛快。


”「元気」で思い出したが、かつてアフリカをともに旅した探検部の先輩は、アジアアベバのバス売り場でコーラを飲みながら、こんな名言を吐いた。
「高野、いいか、世の中で真に重要な情報とは二種類しかない。一つは、自分の身を守るための情報、もう一つは人を元気にさせる情報だ」
さすが、私よりも数段上を行く人だといたく感じ入ったが、その直後、彼はなぜか飲み干したコーラのビンに人差し指を突っ込んで抜けなくなっていた。で、結局、指にビンをぶら下げて長距離バスに乗るはめになった(一時間後、途中の休憩所で石けんを借りて、なんとかはずすことができた)。
そのとき私は、彼から身をもってその名言の意味を教えられた。
すなわち、一、コーラのビンに無闇に指を突っ込むのはひじょうに危険であること。二、笑うことがなによりも手っ取り早く人を元気にさせること、である。”

高野秀行がぎゅっと詰まった一冊だ。

カテゴリ 文藝
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以下、今年の読み初めとなった。

第21回ホラー小説大賞受賞作、孤島が舞台の民俗学ホラー、帯には選考者の貴志祐介、宮部みゆき、綾辻行人の推薦文が踊る。否応なしに楽しみな一冊だった。

読後は、ジュブナイルファンタジーとして一層光っている作品だと感じた。小学生の頃に読めたら、一層楽しめた気がする。

実際、総じてエンターテインメント小説として巧く、あっと言う間に読んでしまった。次から次に畳み掛けながらも伏線を丁寧に拾っていく物語、平易で読みやすい語り口は時に描写の凄惨さを和らげ、また時に登場人物の心象をこちらに委ね余韻を残す。各章1時間程度で読める短篇集的な構成も個人的に良かった。

ただ読みざわり滑らかであるが故、ホラー小説に欲しい「間」や「おどろおどろしさ」に物足りなさも感じたのも事実。物語の主軸も、島の因習と運命に翻弄されつつも立ち向かう主人公たちの葛藤ということで、そう考えると本書は良質なジュブナイルファンタジーという方が適当な気がする。

カテゴライズはさておき、年初からいい作家さんを知ることが出来たのは嬉しく、次回作に期待が膨らんだ。

2015年1月1日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2015年1月1日]
カテゴリ 文藝

久しく耳にしていなかった「ヤンキー」という言葉を、2013年頃から再び耳にするようになった。

斎藤環の「ヤンキー文化論」に関する活動が大きいのだろう(http://toyokeizai.net/articles/-/13068

そんな「ヤンキー文化論」のそもそもの発端を担ったのが本書である。細分化された「ヤンキー文化」を幅広く知ることの出来る、現在のところ唯一無二の入門書である。

同書の目論見は、ジャパニーズカルチャーの通奏ならぬ通騒低音とでも言うべき「ヤンキー文化」を、多角的に探ってみようというものだ。

例えば、WORST、改造バイク、デコ携帯、箱物建築・・・などなど、日本人なら肌でわかる「あの似た感じ」の輪郭を手探っていく。

こうした点で、本書は明確な共通フォルムやモデルを提出する類の本ではない。様々なテーマ・角度から、「ヤンキー文化」を少しでも炙り出そうとする問題提起的な性格が強い。すなわち、「ヤンキー文化論」の切り込み隊長と呼ぶべき書である。

中でも、都築響一へのインタビュー『ヤンキーは死なない』、大山昌彦『暴走族文化の継承』が面白かった。ラストのナンシー関のエッセイはどれも興味深いが、同書の野望ともとれる引用を一つ。

”私には「世の中には”銀蝿的なもの”に対する需要が、常に一定してあり、そしてその一定量は驚くほど多い」という持論がある。昭和50年代終わりという時代の「銀蝿的なもの」が「横浜銀蠅」だった、ということで、横浜銀蝿出現以前にも、そして消滅以降にも「銀蝿的なもの」はあったし、あり続けているのだ。− ナンシー関(pp.271)”

本書で紹介されている「ヤンキー文化」の「気合で解決」、「不良好き」、「どこか抜けててカワイイ」、「やるときはやる」といった美学要素は、「オタク文化」における厨二病的な様々なお約束事とも重なってみえる。

特に現代的な「ヤンキー文化」と「オタク文化」表現は、ごく表層レベルでの見えが違うだけで、ひとつレイヤーが下がると相当早い段階でオーバーラップしているようにも推測される。

先ほどのナンシー関の言う、「オタク」「ヤンキー」をとっぱらった上での「銀蠅的なもの」とは果たして何なのだろうか。今後の各研究者の研究を楽しみに待ちたいところだ。

2015年9月24日

読書状況 読み終わった [2015年9月24日]
カテゴリ 科学/学術

キャリアについて考えている時に、一つの理想的な転職談として本書を手に取った。開いてみると、ずらりと正論が並んでいる。中には現実的に難しくないか、と思わず突っ込んでしまうところもあったが、刺さるところも少なくない。個人的に刺さったところをかいつまむと、

(1)モチベーションの確認:1ヶ月、3ヶ月後に転職初日の期待と目標を振り返る。(2)情けは人のためならず:部下の役割は上司を昇進させること。(3)行動の基本:新人より腰は低く、アウトプットのクオリティは高くを目指す。(4)とにかくはじめは小さな信用を作り、信頼を得る。(5)専門職だから:出来ないことを減らすより出来ることを伸ばし貢献度を上げる。

とこんなところだろうか。

本書は心がけやすいようにまとまっており、ある種の訓戒集的な性格を持っている。たまにペラペラとめくっては、現在位置を確認し、内容をアレンジしていけばいいのだろう。

2015年8月26日

読書状況 読み終わった [2015年8月26日]
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