新書766和食は福井にあり (平凡社新書 766)

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  • 平凡社 (2015年2月13日発売)
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福井県出身なので、こんな本を梅田の紀伊国屋で見つけたら、やっぱり買わないといけないかな、ということで。これまで推理物と歴史ものが読書人生40年(15歳以下の時は本を読んだことがないので)の90%以上を占める中で、食に関する本を読んだのは初めてかもしれません。

福井出身とはいうものの、実際には20歳までしか住んではおらず、少年時代も、ただ野菜が嫌いな(今でもブロッコリーとかカリフラワーとか、ピーマンとか、グリーンピースとか、セロリとかパセリとかは嫌い)泣き虫だったので、福井の和食なんて意識したことありませんでしたが、読んでみると意外と和食が、それも質素な和食が多いらしい。

・「小鯛のささ漬け」。連子鯛と呼ばれる小ぶりの鯛を酢漬けほどにはいかない、特製の調味料液に浸し、木樽に笹の葉や昆布を挟みながら詰めたもの。子供のころは特にうまいとは感じなかったけど、酢と昆布の旨味があって「品のいい」味がするらしい。本当かなあ。。

・「若狭かれい」。あの頃食べていたのが「若狭かれい」だったかは知らないけど、確かに干したかれいはよく焼いて食べたし、おいしかったという記憶はある。なんでも旬の12月には皇室に献上されるとのこと。そういえば、福井以外では煮たやつか揚げたものしか食べた記憶がないなあ。

・「鯖すし」。NHKの朝ドラ「ちりとてちん」でも紹介されてましたが、それよりも昔から、「鯖街道」という小浜から京都までを結ぶ街道があり、小浜湾でとれた鯖は京の都に運ばれていたという歴史があるそうな。光物のすしはちょっと、という自分ですが、「焼き鯖寿司」は確かにおいしい。

・「へしこ」。1年がかりで漬け込む鯖の糠漬けのことらしい。糠漬けはまだちょっとダメな自分ですが、週末スーパーで買い物したら、確かに「へしこ」と書かれた鯖が売っておりました。勉強になります。

・「コシヒカリ」。福井はコシヒカリ発祥の地。昭和31年に福井県農業試験場で誕生。「越の国(越前)に光輝く」という意味。日本のコメの3分の1がコシヒカリ。30年以上連続作付面積日本一。

「けんけら」。大豆を砕き、水飴と砂糖を混ぜて短冊状に切ったお菓子。最初は堅いが徐々に甘さと大豆の味がする。創業150年の歴史を誇るけど、実はあまり食べたことがない。

・「河内赤かぶら」。美山町の焼き畑で作るこの河内赤かぶらは、種子を村の外には持ち出さないため、ここでしか取れないかぶだそうで、しかもこの地方は平家の落人集落だとのことで、「平家の象徴である赤い色のかぶしか作らん。」と今でも頑張っているらしい。知らなかった。

・「越前がに」。最近は高くて食べれませんが、小さいころはよく食べてた記憶があります。旨いです。

・「汐うに」。バウンウニの身に塩をふり、ペースト状に練ったもの。たぶん子供のころよくご飯にのっけて食べていたのがこれじゃないかな。丸い桐箱に入っていて、たぶん今ではそこそこいいお値段じゃないだろうか。福井でしか売っていないかもしれません。

・「あぶらあげ」。福井は豆腐と豆腐加工品の消費が日本一だそうで、特に厚揚げのことを「あぶらあげ」と呼ぶ。はい、呼びます。普通の油揚げは「うすあげ」と呼ぶ。はい、呼びます。すき焼きにも入れる。はい、入れます。

・「越前おろしそば」。自分はやはり、そばはこれが一番旨いと思う。ゆでたそばに、大根おろしと花かつおと刻みネギをのせ、つゆをささっとかけて食べる。いわゆるぶっかけそばですが、大根のからみとかつおの風味がいい味になっております。昭和天皇も福井に行幸された際、2杯も召し上がり、皇居に戻られてからも「あの、越前のそば」と懐かしんだという逸話もあるそうな。

「水ようかん」。福井の冬のお菓子といえばこれ。冷蔵庫で冷やしておいて、こたつに入って食べるのが冬の風物詩。単に大豆からつくるあんと砂糖と水からできてるだけで、味も単純に甘いだけですが、冬はやっぱり水ようかん、だね。

ということで、他にも朝倉義景の「朝倉膳」とか、道元の「永平寺の精進料理」とか、親鸞聖人の「報恩講料理」とか、全く口にしたことのない料理も紹介されておりました。自分としては「和食は福井」にあるというよりも、日本の地方にはどこにでも素晴らしい和食があり、これはその一例、としておくことにしておきます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年4月18日
読了日 : 2015年2月26日
本棚登録日 : 2015年4月18日

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